はぐくみ企業年金と小規模企業共済は併用できますか？

はぐくみ企業年金基金（はぐくみ基金）と小規模企業共済は、結論として問題なく併用できます。

制度の目的・対象者・税制の仕組みがまったく異なるため、一方の加入がもう一方の利用を妨げることはありません。

むしろ両制度は補完関係にあり、併用することで老後資産の土台をより強固にできます。

まず、はぐくみ基金は会社が従業員の退職金を準備するための企業年金（確定給付型）であり、退職時に一定額が支給される「守りの制度」です。

運用リスクを会社側が負う仕組みのため、従業員にとっては元本割れの心配がなく、福利厚生の目に見える安心材料になります。

一方、小規模企業共済は経営者や役員・個人事業主自身が老後に備える制度で、掛金は全額所得控除となり節税効果が大きいのが特徴です。

対象者と制度目的が異なるため、会社がはぐくみ基金を導入していても、経営者が個人で小規模企業共済に加入することはまったく問題ありません。

併用のメリットは明確です。中小企業では「従業員向けの退職金制度はあるが、社長自身の老後資金は後回し」というケースが多く、会社の制度だけでは経営者の人生設計が不十分になりがちです。

はぐくみ基金で従業員の定着と安心を確保しつつ、小規模企業共済で経営者自身の老後資金を準備できるため、会社と個人の双方にメリットが生まれます。

また、両制度とも税制優遇があるため、無理なく積み立てを継続できる点も利点です。

ただし、はぐくみ基金は資産が増えにくい制度であるため、将来の資産形成まで考えるのであれば、企業型確定拠出年金（企業型DC）との組み合わせも視野に入れるべきです。

企業型DCは運用益が非課税で増えやすく、「守る制度（はぐくみ）」と「育てる制度（DC）」を併用することで、従業員満足・採用力・老後不安の解消という３つの効果を同時に狙えます。

まとめると、はぐくみ基金と小規模企業共済は併用でき、役割が異なるからこそ両立すると理解するのがポイントです。

そして、老後資産をより強く設計したい企業にとっては、「はぐくみ基金＋小規模企業共済＋企業型DC」という三階建ての戦略設計が最も合理的と言えます。