はぐくみ企業年金と企業型DCのどちらが良いですか?

はぐくみ基金と企業型DCのどちらが良いかという質問に対して、結論を一言でまとめるなら、制度の優劣ではなく目的の違いで選ぶものです。両者はそもそもの仕組みが異なり、役割も強みも違います。

はぐくみ基金は「会社が退職金を保障する制度」、企業型DCは「社員が退職金を育てる制度」。この構造を理解すると判断が非常にスムーズになります。

はぐくみ基金は確定給付(DB)型で、将来の退職金額があらかじめ決まっている仕組みです。保険型で元本割れがなく、社員にとっては安心感が大きい制度です。

会社としても「退職金制度を持っている」という信用につながり、採用面で一定の効果があります。一方、会社が給付を保証する制度であるため、制度そのものの柔軟性は低く、会社側の責任も残ります。この意味で、はぐくみ基金は最低限の安心を守る“土台”としての退職金制度に向いた制度です。

一方で企業型DCは確定拠出(DC)型で、会社が拠出した掛金を社員が自ら運用し、将来受け取る額が変動する仕組みです。運用益が非課税で積み上がるため、長期運用との相性が非常に良く、若い世代ほどメリットが大きくなります。

また、会社にとっても掛金は全額損金となり、制度設計次第では会社負担を抑えた導入も可能です。社員が“自分の老後を自分の力でつくる”実感を持てる制度であり、主体的な資産形成を支援する“攻め”の退職金制度と言えます。

ただし企業型DCは元本保証ではないため、不安を感じる社員が一定数存在します。逆に、はぐくみ基金だけにすると、将来の退職金額に上限があり「育てる楽しさや期待感」に欠ける面があります。

だからこそ、実務で最も効果的なのは両者の併用です。はぐくみ基金で安心の土台をつくり、企業型DCで将来の資産形成を上乗せすることで、「安心」と「希望」を同時に提供でき、採用力・定着力ともに強化されます。

結論として、

  • 安心を軸にしたいなら → はぐくみ基金
  • 資産形成と定着を重視するなら → 企業型DC
  • 採用・定着・安心のすべてを狙うなら → 併用が最適

退職金制度は会社にとってコストではなく“辞めない理由をつくる投資”です。制度選びは会社の未来と社員の人生を左右する重要な経営判断であり、両制度を理解したうえで戦略的に設計することがこれからの時代の標準になっていきます。

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