iDeCo(個人型確定拠出年金)の年末調整は、掛金が全額所得控除の対象となるため、忘れずに申告すれば大きな節税効果が得られます。仕組みを理解して手順どおりに進めれば難しくありません。ここでは、会社員の方を中心に、iDeCoの年末調整の流れと注意点をわかりやすく説明します。
まず、iDeCoの掛金には「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除が適用されます。これは生命保険料控除や医療費控除と同じように、支払った金額をそのまま所得から差し引くことができる仕組みです。
たとえば年間24万円(毎月2万円)をiDeCoに拠出している人なら、その24万円が所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減されます。
年末調整で必要になるのが、「小規模企業共済等掛金払込証明書」という書類です。これは、iDeCoの運営主体である国民年金基金連合会から毎年10月〜11月頃に郵送されます。ハガキサイズの証明書で、年間の掛金額が明記されています。届いたら大切に保管しておきましょう。
会社員の場合は、この証明書を勤務先の総務・人事担当に提出するだけでOKです。会社側が年末調整の際に給与所得と合わせて処理し、税金の計算を行ってくれます。
控除の申告書では「小規模企業共済等掛金控除」の欄に、証明書に記載された金額を記入し、証明書を添付して提出します。これで自動的に所得税・住民税の還付が受けられます。
一方で、自営業者やフリーランスの場合は、年末調整が行われないため、確定申告で控除を申請する必要があります。確定申告書の「小規模企業共済等掛金控除」欄に金額を記入し、同じく証明書を添付すれば問題ありません。提出が遅れると控除が反映されないことがあるため、必ず期限内に行いましょう。
また、掛金を給与天引きで納付している人(いわゆる事業主払込)は、すでに会社が毎月の給与処理で控除している場合があります。その場合は、個別の証明書提出が不要なケースもあります。とはいえ、会社によって取り扱いが異なるため、念のため総務担当者に確認しておくと安心です。
このように、iDeCoの年末調整は「証明書を提出するだけ」で完了しますが、提出を忘れると本来受けられる節税効果がゼロになってしまう点に注意が必要です。もし提出し忘れても、翌年の確定申告で還付を受けることはできますが、手続きが増えてしまいます。
つまり、年末調整で最も大事なのは、10〜11月に届く証明書をなくさずに提出すること。それだけで、所得税・住民税が年間数万円単位で軽くなる可能性があります。老後資金を育てながら、今の節税も実現できるのがiDeCoの大きな魅力です。
社労士である私は、こうした手続きのサポートや税制メリットの最大化を通じて、安心して資産を育てられる仕組みづくりをお手伝いしています。