iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金限度額は、2027年1月から引き上げが予定されています。これは、政府が「公的年金を補う自助努力の支援」を目的として打ち出した制度改正の一環であり、現行制度よりも柔軟で使いやすい仕組みに見直される方向で進んでいます。
これまでのiDeCoは、加入者の属性によって掛金上限が異なり、自営業者なら月6万8,000円、企業年金のない会社員は月2万3,000円、公務員や企業年金のある会社員は月1万2,000円というように複雑な構造になっていました。こうした分かりづらさを解消し、より多くの人が老後資産形成を進めやすくするため、政府は限度額の統一・拡大を決定しました。
2027年1月以降は、iDeCo単独の上限額という考え方が廃止され、企業型確定拠出年金(企業型DC)や確定給付年金などの他制度との合算で月額6万2,000円まで拠出できるようになる予定です。
つまり、企業型DCに加入している会社員であっても、企業の掛金が少ない場合には、個人がiDeCoを併用して上限まで積み立てることができるようになります。これにより、従来よりも柔軟に老後資金を準備できる環境が整うのです。
この改正の背景には、老後資金の不足が社会問題化している現実があります。長寿化や年金財政の厳しさを考慮し、国は「自分でつくる年金」を促す方針を明確にしています。限度額の引き上げによって、より多くの人が節税しながら資産形成を行えるようになるため、特に高所得者や将来に向けて積極的に資産を増やしたい層にとっては大きな追い風となります。
ただし、現時点(2025年)ではあくまで法案段階の見通しであり、正式な制度改正は今後の国会審議を経て確定します。そのため、詳細な金額やスケジュールは変更の可能性があります。正式な施行時期や具体的な運用方法は、厚生労働省や金融庁の発表を待つ必要があります。
いずれにしても、2027年からの制度変更によってiDeCoの活用価値はさらに高まることは間違いありません。もしあなたが会社経営者であれば、自分だけでなく社員にも老後資産形成の機会を提供できる企業型確定拠出年金(企業型DC)の導入を検討することで、節税・福利厚生・定着率アップを同時に実現することができます。