iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除の対象となるため、節税しながら老後資産をつくることができる制度です。毎月5,000円という少額から始められ、誰でも利用できるのが大きな特徴です。
月5,000円(年間6万円)を積み立てた場合の節税額は、「掛金 ×(所得税率+住民税率)」で計算されます。住民税は一律10%、所得税率は年収により異なります。年収300万円で所得税率5%の場合、6万円×(5%+10%)=9,000円の節税。年収500万円で所得税率10%なら12,000円、年収700万円で所得税率20%なら18,000円の節税になります。
年収が高いほど節税効果が大きくなり、たとえば年収500万円の方が20年間続けると、12,000円×20年=24万円の節税効果が得られます。
さらに、iDeCoの大きな魅力は運用益が非課税であることです。通常の投資信託では利益に20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは一切課税されません。たとえば月5,000円を20年間、年利3%で運用した場合、120万円の掛金が約162万円に増えます。通常の投資であれば約8万円の税金がかかるところ、iDeCoならそのまま自分の資産になります。
また、受け取るときも税制上の優遇措置があります。一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金等控除が適用され、受け取り時も有利です。
このようにiDeCoは、「掛金の全額控除」「運用益非課税」「受け取り時優遇」という三重の節税効果を持ち、老後資産づくりをしながら税負担を減らせる制度です。たとえ月5,000円でも、複利効果で20年、30年と続ければ大きな差が生まれます。節税をしながら将来に備える第一歩として、無理なく始められるのがiDeCoの魅力です。
ただし、経営者や役員の場合は、iDeCoよりも企業型確定拠出年金(DC)を導入した方がより大きな節税効果を得られます。iDeCoは個人の積立ですが、企業型DCは会社が掛金を拠出し、全額を損金として経費処理できるため、法人税の節税にもつながります。
掛金の上限も月55,000円と高く、役員自身の退職金準備にも活用できます。運用益も非課税で、受け取り時にはiDeCoと同様の優遇を受けられます。iDeCoが個人レベルの節税制度だとすれば、企業型DCは「会社と経営者の双方にメリットがある制度」です。
もし経営者であれば、iDeCoよりも企業型DCを導入した方が、より大きな効果を得られる賢い選択といえるでしょう。