特定退職金共済(特退共)の加入条件を教えてください。

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特定退職金共済制度は、企業が従業員のために退職金を外部積立で準備できる仕組みであり、主に各地の商工会議所や商工会連合会などの特定退職金共済団体が国の承認を受けて運営しています。

自社で退職金規定の策定や積立金を管理する手間を省き、簡便かつ確実に退職金制度を導入したい企業に広く利用されています。

この制度への加入資格について、まず企業(共済契約者)側には、国が運営する中小企業退職金共済(中退共)のような企業規模による制限は設けられていない場合が多いです。重要なのは、その特定退職金共済団体が定める地区内(例:商工会議所の地区内)に事業所があることが一般的です。

企業規模を問わず、地区内の事業所であれば導入できるため、柔軟性が高いといえます。企業が契約主体となり、従業員個人が直接申し込むことはできず、必ず勤務先を通じて加入します。

次に、従業員(被共済者)側の条件です。制度への加入は、原則として全従業員を対象とする「任意包括加入」が求められます。これは、一部の従業員だけを恣意的に排除するような不公平な取り扱いを防ぐためです。ただし、各共済団体の規約に基づき、継続的な就労が期待されない一部の従業員は加入させなくても差し支えないとされています。

具体的には、期間を定めて雇用されている者、試用期間中の者、短時間労働者(パートタイマーなど)、休職中の者などがこれにあたります。また、事業主本人、生計を一にする親族、および使用人兼務役員を除く法人の役員は加入できません。多くの団体では、満15歳以上65歳前後という年齢制限も設けられています。加入にあたっては、従業員の同意が必要となります。

掛金は全額事業主が負担することが基本で、従業員が一部を負担する形は採用できません。掛金は1人あたり月額1,000円から30,000円までの範囲で、企業が自由に設定でき、業績に応じて増減も認められるため、財務状況に応じた柔軟な運用が可能です。

税務上のメリットも大きく、企業が拠出する掛金は全額損金または必要経費として処理できるため、法人税や所得税の節税効果があります。従業員が受け取る共済金は退職所得として扱われ、退職所得控除などの適用により、受取時の税負担も軽くなります。

ただし、短期で解約した場合には元本割れのリスクがあるため、この制度は長期継続を前提とすることが望ましいといえます。このように特定退職金共済は、企業規模を問わず地区内の事業所が、正社員を中心に幅広い従業員に対して、税制優遇を受けながら安定した退職金制度を整備できる有効な手段です。

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