株価が暴落したとき、多くの投資家は「今すぐ売って損失を確定すべきか」「逆にこの機に買い増すべきか」という二択で深く悩みます。しかし、結論から言えば、暴落時に最も避けるべきは感情に流されて慌てて行動することです。
市場は歴史的に見て必ず上げ下げを繰り返すため、短期的な値動きに一喜一憂すると、回復を待たずに損失を確定してしまうリスクが高まります。
まず、投資の目的を再確認することが重要です。老後資金の準備や20年、30年といった長期的な資産形成が目的であれば、一時的な下落は想定内として受け入れるべきです。過去の主要な暴落(リーマンショックやコロナショックなど)を見ても、市場は必ず回復し、長期的な成長を続けてきました。暴落は避けられない「通過点」であり、長期投資家にとっては冷静を保つべき時です。
次に有効なのが「ドルコスト平均法」の継続です。毎月一定額を積み立てるこの手法を続けることで、暴落時には価格が下がった分、より多くの株を安く買うことになります。結果として平均購入単価が引き下げられ、長期的なリターンを押し上げる効果があります。暴落は積立投資家にとって「バーゲンセール」とも言える買い場なのです。もし積立投資を中断したり、ましてや解約したりすれば、この最大のメリットを失うことになります。
一方で、すでにまとまった資産を運用している方は、資産配分(ポートフォリオ)を見直す良い機会と捉えましょう。下落が耐えがたいと感じたなら、それは当初設定したリスク許容度を超えていた証拠かもしれません。暴落直後に慌てて全資産を売るのではなく、時間をかけてリバランスすることが大切です。今後の掛金配分を変更したり、少しずつ債券や現金の比率を増やしたりして、自分の精神的な負担に合った形に修正するのです。
また、退職が間近に迫っている方は、リスク資産の比率が高いと暴落がそのまま生活資金を直撃するリスクがあるため、段階的に安全資産へスイッチング(乗り換え)していく戦略が有効です。特に企業型DCやiDeCoなどの非課税制度を利用している場合、退職時期が近づくにつれてリスクを下げていくことが、これまでの利益を確実に守る現実的な戦略となります。
まとめると、株価暴落時に重要なのは、「狼狽売りをしない」「積立を継続する」「冷静にポートフォリオを見直す」ことです。目的を見失わず、計画的に対応することこそが、最終的に資産を守り、長期で増やすための最も確実な方法です。