企業型確定拠出年金(企業型DC)のスイッチングで利益確定はできるのか?

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企業型確定拠出年金(企業型DC)における「スイッチング」とは、すでに保有している運用商品を売却して、別の商品に移し替える手続きを指します。

これにより、株式や投資信託などのリスク資産で得た利益を一度確定させ、元本保証型商品や安定的な債券ファンドなどに移すことができます。いわゆる「利益確定」は、このスイッチングによって実現可能です。

企業型確定拠出年金

ただし、一般的な証券口座での利益確定とは異なり、企業型DCの場合は「税金が即時に発生しない」という大きな特徴があります。

通常の株式投資や投資信託では売却益に対して約20%の課税が発生しますが、確定拠出年金の中でのスイッチングは非課税で行えるため、運用益をそのまま次の投資に回すことが可能です。つまり、課税を先送りにしたまま利益確定と資産移動を行える点が、DC特有のメリットといえます。

一方で、注意すべき点もあります。まず、確定拠出年金はあくまで「老後資産形成を目的とした制度」であり、原則60歳まで引き出すことができません。

したがって、スイッチングで利益確定をしたとしても、その資金を現金化して自由に使えるわけではありません。受け取りは退職時や老齢給付金としてのタイミングまで待つ必要があります。

また、スイッチングはタイミングを見誤ると「利益確定」どころか逆効果になることもあります。たとえば、市場が一時的に下落したときにリスク資産を慌てて売却してしまうと、損失を確定してしまうことになります。

反対に、市場が高値をつけているときに一部を利益確定し、安全資産に移しておくのは合理的な戦略の一つです。特に退職が近づいてきた場合には、運用成果を確実に確保するために段階的にリスク資産を減らしていく「ライフサイクル戦略」が有効です。

さらに、掛金の今後の配分も見直す必要があります。スイッチングで資産を守っても、その後の掛金を引き続き高リスク商品に積み立てていれば、資産全体のリスクは変わらないままです。「スイッチング」と「掛金配分変更」を組み合わせて運用方針を調整することが大切です。

まとめると、企業型DCにおけるスイッチングは「非課税で利益確定できる」という大きな利点があり、老後資産を守る上で非常に有効です。ただし、実際に現金化できるのは60歳以降であること、タイミングを誤れば損失確定につながることに注意が必要です。

長期的な運用を前提にしつつ、ライフステージや市場環境に応じて計画的にスイッチングを行うことが、賢い老後資産形成につながります。

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