小規模企業共済は個人事業主が廃業した場合も受け取れるの?

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小規模企業共済は、中小企業基盤整備機構が運営する、経営者や個人事業主のための「退職金制度」です。加入対象は、法人の役員、個人事業主、共同経営者など、事業を営む立場にある人に限られます。

そして、この制度の大きな特徴は、事業をやめたとき=廃業時に共済金を受け取れるように設計されている点です。

参考:小規模企業共済(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)

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具体的には、個人事業主が廃業した場合、その時点で「共済金受給事由」が発生します。これにより、積み立ててきた掛金に基づいて「共済金」を受け取ることが可能になります。共済金の受け取りは一括・分割・併用のいずれかを選ぶことができ、税制上も退職所得扱いとなるため、退職所得控除を活用できるのが大きなメリットです。

一方で、注意すべきなのは加入期間の長さです。掛金納付月数が12か月未満で廃業した場合は共済金を受け取れず、単純に掛金が無駄になってしまいます。さらに、掛金納付月数が20年未満で解約すると、受け取れる金額(解約手当金)が掛金の合計額を下回り、元本割れする可能性があります。

したがって、制度の恩恵を最大限に受けるためには、できる限り長期で加入し続けることが重要です。

なお、廃業以外でも「老齢給付」として65歳以降に任意で受け取ることも可能ですし、役員退任や死亡時にも共済金は支払われます。つまり、個人事業主に限らず、経営に携わる立場を離れたときには、共済金を退職金として受け取れる仕組みになっているのです。

また税制面でも優遇があります。積み立て中の掛金は全額が所得控除の対象となり、受け取り時には退職所得控除や公的年金等控除が適用されます。特に一括で受け取る場合は「退職所得」として2分の1課税が適用されるため、税負担を大幅に軽減できます。廃業時にまとまった資金を確保できることは、生活の再建や新しい挑戦にとって大きな安心材料となります。

一方で、近年は小規模企業共済だけでは老後資金を十分に準備するのが難しい場合もあり、併せてiDeCoや企業型確定拠出年金(DC)を活用する人も増えています。小規模企業共済は「退職金の積み立て」、iDeCoやDCは「年金としての資産形成」という役割分担で考えると、より安定した老後の生活設計が可能になります。

まとめると、個人事業主が廃業した場合、小規模企業共済は共済金を受け取ることができ、退職金代わりに活用できます。ただし、加入期間が短いと元本割れや受給不可になるケースもあるため、できるだけ長期で加入するのが望ましいです。

そして、小規模企業共済だけに頼らず、iDeCoやDCと併用して老後資金を多層的に準備することが、経営者や個人事業主にとって最も効果的な戦略といえるでしょう。

>>企業型確定拠出年金と小規模企業共済の違いを徹底比較

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