投資信託を銀行で購入している人にとって、「もし取引している銀行が破綻したら、自分の投資信託はどうなるのか」という不安は自然なものです。結論から言うと、銀行が潰れても投資信託そのものは守られる仕組みになっています。
その理由は、投資信託は銀行の「預金」や「財産」ではなく、投資家自身の「分別管理された資産」として扱われるからです。銀行は投資信託を販売する「販売会社」の役割を担っていますが、実際に投資信託を運用するのは「運用会社(投資信託委託会社)」、投資家の資産を保管・管理するのは「信託銀行(受託銀行)」です。
つまり、投資家のお金は銀行の資産とは切り離され、信託銀行で分別管理されているため、銀行が倒産しても直接の影響を受けません。
例えば、A銀行で投資信託を買っていたとして、その銀行が破綻しても、投資信託の資産自体は信託銀行に保管されているため失われることはありません。銀行が破綻した場合でも、別の金融機関を通じて引き続き運用や換金が可能になります。
一方で注意すべき点もあります。銀行が潰れた場合、しばらくの間は事務手続きや受け取りに時間がかかる可能性があります。また、投資信託そのものの価値は、市場の株価や債券価格に左右されるため、銀行破綻とは関係なく値下がりするリスクは常に存在します。
つまり「銀行破綻=投資信託消滅」ではありませんが、「市場リスク」は別途考える必要があります。
さらに、銀行に預けている「預金」とは扱いが異なります。預金の場合はペイオフ制度により1人当たり元本1,000万円とその利息が保護されますが、投資信託はそもそも預金ではないため、ペイオフの対象外です。その代わりに「信託財産は分別管理」という仕組みで守られているのです。