建設業退職金共済制度(建退共)の対象者は、基本的に建設業の現場で働く労働者すべてです。建設業界は雇用形態が多様で、正社員として長期勤務する人もいれば、日雇いや短期契約で働く人も多く存在します。
参考:建設業退職金共済(独立行政法人 勤労者退職金共済機構)
こうした働き方の違いに関わらず、建設業に従事する労働者であれば原則として対象となります。つまり、元請会社であろうと下請会社であろうと、現場で働く人なら共済制度に加入できる仕組みになっています。
具体的には、常用労働者(日給月給制の社員や契約社員)、日雇い労働者、パートタイム労働者など、雇用の安定性や勤務日数に関わらず対象に含まれます。事業主が制度に加入すると、労働者一人ひとりに共済手帳が交付され、就労日数に応じて事業主が購入した証紙を貼付することで退職金が積み立てられます。これにより、労働者は会社が変わっても記録が通算され、建設業で働いた日数に応じた退職金を受け取ることが可能になります。転職や現場の移動が多い業界にとって、大きな安心材料となる仕組みです。
一方で、対象外となる人もいます。たとえば、建設会社に所属していても現場に従事しない事務職や管理職、営業担当者などは制度の対象外です。また、会社の経営者や役員、一人親方本人も加入できません。ただし、一人親方のもとで働く労働者については対象になります。あくまで「現場で実際に建設作業を行う人」が範囲とされているのが特徴です。
このように、建設業退職金共済制度は、建設現場で働くすべての労働者が安心して将来に備えられるように設計された制度です。雇用形態や会社規模に左右されず、労働者が働いた日数がそのまま退職金に反映される点が大きなメリットです。建設業の特性に合わせて、働く人を広くカバーする仕組みといえるでしょう。