小規模企業共済を一括払いするメリットは何ですか?

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小規模企業共済は、経営者や個人事業主のための“退職金制度”であり、通常は月額掛金を毎月積み立てていく仕組みです。しかし、年払いによって掛金を「一括払い」することも可能であり、この方法にはいくつかの大きなメリットがあります。

参考:小規模企業共済(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)

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第一のメリットは、節税効果を早く確定できることです。小規模企業共済の掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。

たとえば年間84万円(上限)を年払いで一括納付すれば、その年の所得から84万円が丸ごと控除されるため、所得税や住民税を大きく減らすことができます。特にその年の所得が高く、大きな節税をしたいときには一括払いが有効です。

第二のメリットは、資金管理がシンプルになることです。毎月の引き落としではなく、一度にまとめて支払うことで、その年の共済掛金の支払いが完了します。事業主にとっては経費計画が立てやすくなり、決算対策の一環としても利用しやすい方法です。特に年末に利益が大きく出た場合、その資金を一括払いに回すことで無駄なく節税に活用できます。

第三に、将来の老後資金を計画的に確保できることです。小規模企業共済は長期的な積立を前提とした制度であり、積み立てた掛金は廃業や退職時に「退職金」として受け取れます。一括払いで早めに資金を納付しておくことで、その分積立額が確実に増え、老後資金の基盤を早い段階で固めることができます。

また、掛金を年払いしておけば、納付忘れや資金繰りの影響で毎月の支払いが滞る心配もなくなります。これは安定した資金形成を継続するうえで大きな利点です。さらに、掛金を納付していれば、その範囲内で低利の貸付制度を利用できるため、一括払いにより貸付利用可能額を早い段階で確保する効果もあります。

ただし、一括払いには注意点もあります。大きな資金を一度に支払うため、事業資金の流動性が一時的に低下します。また、節税メリットは大きいものの、短期で解約すると元本割れする可能性があるため、資金を固定化するリスクを理解しておくことが必要です。

結論として、小規模企業共済を一括払いするメリットは、①その年の節税効果を最大化できる、②資金管理がシンプルになる、③老後資金を計画的に確保できる、④貸付利用可能額を早めに高められる、という点にあります。特に利益が大きい年の決算対策としては非常に有効な方法といえるでしょう。

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