結論から言えば、小規模企業共済は「誰でも入れる」わけではありません。加入できるのは、一定の要件を満たした 中小企業の経営者・役員・個人事業主 などに限られます。つまり、一般の会社員や公務員が個人の意思だけで加入することはできません。
まず対象となるのは、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主、またはその事業を営む共同経営者です。たとえば飲食店、美容院、小売業などのオーナー、フリーランスの専門職も含まれます。
また、法人の経営者や役員も加入が認められていますが、会社規模には制限があり、中小企業基本法で定める資本金や従業員数の基準を満たしている必要があります。
この制度の趣旨は「退職金制度が整っていない中小企業の経営者や自営業者を支援すること」であるため、すでに会社員として厚生年金や企業年金に加入している人は対象外となります。ただし、副業として事業を営み、個人事業主として確定申告をしている場合には、その事業を根拠に加入できるケースもあります。
また、加入できるのは経営者本人だけでなく、その事業を実質的に経営に携わる「共同経営者」も含まれます。たとえば家族経営の会社で役員を務める配偶者なども対象となることがあります。
ただし、従業員は加入できません。従業員向けには別途「中小企業退職金共済(中退共)」が用意されているため、区別が必要です。
掛金は月額1,000円から7万円まで500円単位で自由に設定でき、全額が所得控除となるため、加入できる立場にある人にとっては強力な節税メリットがあります。さらに受け取り時も退職所得控除や公的年金等控除が使えるため、積立時・運用時・受取時の三段階で税制優遇を受けられるのが特徴です。
結論として、小規模企業共済は誰でも入れる制度ではなく、中小企業の経営者・役員・個人事業主・共同経営者 に限られます。会社員や公務員は対象外ですが、自分で事業を営んでいるのであれば加入できる可能性があります。
事業規模が小さくても利用できるため、該当する方にとっては老後資金を準備する上で非常に有効な制度といえるでしょう。