小規模企業共済を解約した場合、どうなるかは「解約理由」と「加入年数」によって大きく異なります。まず押さえておくべき点は、この制度は長期的に積み立てて老後資金や退職金を準備する仕組みであり、短期間で解約すると大きなデメリットがあるということです。
解約理由が廃業・退職・死亡といった正当な事由の場合には「共済金」として支給されます。この場合は掛金総額に運用益が上乗せされるため、長く続けるほど受け取れる金額は大きくなり、20年以上掛け続ければ掛金総額を上回るケースが一般的です。
受け取り時は税制上も優遇され、一括で受け取れば退職所得扱いとなり退職所得控除と1/2課税が使えます。年金形式で受け取れば公的年金等控除が使えるため、課税負担は非常に軽く済みます。
一方で、任意解約、つまり「やめたくなったからやめる」というケースでは支給されるのは「解約手当金」と呼ばれるものになります。この場合は加入年数が短いと元本割れする可能性が高く、例えば10年程度でやめると掛金総額の8割前後しか戻らないこともあります。
さらに加入期間が12ヶ月未満で解約した場合には、一切の返戻金がなく掛け捨てになってしまいます。小規模企業共済は短期利用には不向きであり、20年以上続けてこそ本来のメリットを享受できる制度なのです。
また、税制面でも差があります。共済金としての受け取りであれば退職所得や公的年金扱いで優遇されますが、解約手当金は雑所得として扱われる場合があり、結果的に税金が重くなる可能性があります。この点も、安易に任意解約すると損をする要因の一つです。
結論として、小規模企業共済を解約すると、廃業や退職といった正当な理由なら掛金総額以上を有利な税制で受け取れますが、任意解約では元本割れや課税負担の増加といった不利が生じます。
したがって、この制度は短期でやめるものではなく、長期に積み立てて退職金や老後資金として受け取る前提で利用することが極めて重要です。