小規模企業共済と企業型DCを併用するメリットは?

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小規模企業共済と企業型確定拠出年金(企業型DC)は、いずれも老後資金の形成に有効な制度ですが、両者を併用することでより大きなメリットを享受できます。

参考:小規模企業共済

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まず、小規模企業共済は中小企業の社長や役員、個人事業主のために国が用意した「経営者の退職金制度」です。掛金は月額1,000円から7万円まで500円単位で自由に設定でき、全額が所得控除の対象となるため、節税効果が非常に大きいのが特徴です。

廃業や退職時に共済金を受け取る際も退職所得控除や公的年金等控除が使えるため、受取時の税負担も軽くなります。さらに資金が必要なときには掛金の範囲内で低利融資を受けられる点も魅力です。

一方、企業型DCは会社が掛金を拠出し、従業員や役員自身が運用商品を選んで資産を積み立てる制度です。こちらも掛金は全額損金算入でき、運用益は非課税、受取時も退職所得控除や年金控除が使えるため、「積立時・運用時・受取時」の三段階で税制優遇を受けられます。

また、会社として導入すれば従業員にとっても大きな福利厚生となり、人材採用や定着力の向上につながります。経営者自身も加入できるため、老後資金の準備と節税を同時に実現できます。

この二つを併用する最大のメリットは、節税枠を広げながらリスク分散して資産形成できること です。小規模企業共済は掛金が固定的で元本性が強く、堅実に資産を準備する仕組みです。

一方で企業型DCは運用商品を選択できるため、インデックスファンドなどを活用すれば長期的に資産を増やす可能性があります。つまり、小規模企業共済で安定性を確保しつつ、企業型DCで成長性を取り入れることで、バランスの取れた老後資金戦略を構築できるのです。

さらに、両制度はそれぞれで独立した税制優遇を受けられるため、併用することで節税効果を最大化できます。

例えば、小規模企業共済で年間84万円(7万円×12か月)、企業型DCで年間66万円(制度設計による上限)を拠出すれば、合計150万円が課税所得から控除されます。高い所得税率や住民税率が適用される経営者にとっては、この節税効果は非常に大きな価値を持ちます。

結論として、小規模企業共済と企業型DCの併用は「安定性+成長性」「個人の退職金+会社制度による福利厚生」「節税効果の最大化」という三つのメリットを同時に実現できる点で非常に有効です。

特に中小企業の社長にとっては、自分自身の老後資金を確実に準備しながら、従業員の待遇改善や採用力強化にもつながる最適な選択肢といえるでしょう。

>>企業型確定拠出年金と小規模企業共済の違いを徹底比較

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