退職金2000万円を受け取れる人の割合は、実はそれほど多くはありません。まず理解しておくべきは、退職金は法律で一律に決まるものではなく、企業規模や勤続年数、学歴、業種によって大きく差があるという点です。

公的なデータを見ると、国家公務員の場合は割合が比較的高いことが分かります。
たとえば常勤の国家公務員全体では、退職金が2000万円を超える人が約30%程度にのぼります。
さらに行政職俸給表(一)の適用者、つまり典型的な事務系の職員に限ると、その割合は55%を超えるという報告もあります。
これは、公務員が安定して長期間勤続しやすい職場環境であり、定年まで勤め上げる人が多いため、結果として退職金が2000万円に達するケースが珍しくないからです。
一方、民間企業では状況が大きく異なります。大企業の大学卒で定年まで勤め上げた場合のモデル退職金は、平均で2100万円前後とされており、この条件を満たした人は2000万円を超える退職金を受け取れる可能性があります。
しかし、これはあくまで「定年まで一社に勤続した大卒社員」という限られた層を前提としたモデルであり、実際には転職や早期退職でこの金額に届かない人が多数を占めます。
中小企業の場合はさらに厳しく、退職金制度自体を設けていない会社も珍しくありません。
そのため、10年以上勤めても退職金が数百万円にとどまるケースや、制度がなくゼロというケースも存在します。現実的には、中小企業勤務者で2000万円以上の退職金を受け取れる人はごく少数派と考えられます。
総合的に見ると、退職金2000万円以上を受け取れる人の割合は、日本全体でみれば 5〜15%程度の限られた層 にすぎないと推測されます。
割合が高いのは、公務員や大企業に長期勤続した社員などに集中しており、それ以外の層ではほとんど到達が難しい金額です。
結論として、退職金2000万円を受け取れるのはごく一部の人であり、多くの人にとっては到達が難しい水準です。
そのため、自分の退職金がいくらになるかを早めに確認し、不足分を企業型確定拠出年金やiDeCoなどを活用して準備しておくことが現実的な老後資金対策となります。







