企業型確定拠出年金を放置状態にするとどうなりますか?

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企業型確定拠出年金(企業型DC)の「放置状態」とは、退職や転職で企業型DCの加入資格を失ったにもかかわらず、資産の移管手続きをせずにそのままにしている状態を指します。この場合、積み立ててきた資産は自動的に「国民年金基金連合会」に移されます。これを自動移換と呼びます。

企業型確定拠出年金

自動移換になると、従来のように投資信託や定期預金などの運用商品で資産を増やすことはできません。資産は現金として保管され、運用は一切行われないため、せっかくの老後資金が増える機会を失ってしまいます。

しかも保管している間は管理手数料が差し引かれるため、資産は少しずつ目減りしていきます。これが「放置状態」が危険と言われる理由のひとつです。

さらに大きな問題は、放置状態にある期間は 加入期間としてカウントされない ことです。確定拠出年金は原則として60歳から受け取りが可能ですが、受け取り開始には通算10年以上の加入期間が必要です。

放置状態が長引くと加入期間が積み上がらず、受け取り可能な年齢が繰り下がるリスクが生じます。例えば加入期間が足りない場合、61歳以降にならないと受け取れないこともあります。

また、放置状態を続けると将来的に受け取り手続きが複雑になる点も見逃せません。自動移換先の国民年金基金連合会に保管された資産を再び動かすためには、改めて移管の手続きを行わなければならず、書類の準備や確認に時間がかかります。老後に受け取る際にも、スムーズに資産を引き出せない可能性が高まります。

結論として、「企業型確定拠出年金の放置状態」とは、資産が自動移換され運用されないまま手数料で減り続け、加入期間にも算入されない不利な状態を指します。資産が消えることはありませんが、増えることもなく、むしろ減ってしまい、老後資金準備に悪影響を及ぼします。

したがって、退職や転職で企業型DCの資格を失った場合には、放置せずに必ず移管手続きを行うことが重要です。転職先に企業型DCがあればそこへ移す、なければiDeCoへ移すのが一般的で、そうすることで資産を守り、効率的に老後資金を育てることができます。

>>企業型確定拠出年金は移管しないとどうなりますか?

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