全国対応!企業型確定拠出年金のことならおまかせください

企業型確定拠出年金は廃止できる?手続き・従業員資産の扱い・注意点を徹底解説

この記事は、企業の人事担当者や経営者、または企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者である従業員の方に向けて執筆しています。
企業型DCの廃止を検討する際に必要な手続きや、従業員の資産の取り扱い、注意点、他制度への移行事例など、実務に役立つ情報をわかりやすく解説します。
企業型DCの廃止を検討している方や、今後の退職金制度の見直しを考えている方にとって、制度廃止の流れやポイントを網羅的に理解できる内容となっています。

目次

企業型確定拠出年金の廃止とは?

企業が制度そのものを終了することを指す

企業型確定拠出年金の廃止とは、企業が導入している確定拠出年金制度(企業型DC)を会社として終了させることを意味します。
これは、企業が従業員のために積み立てている年金制度そのものを廃止することであり、今後は新たな掛金の拠出や運用指図が行われなくなります。
廃止後は、従業員の年金資産の取り扱いや、他の退職金制度への移行など、さまざまな対応が必要となります。
企業の経営判断や人事戦略の一環として、慎重な検討が求められる重要な決定です。

従業員が個別に脱退する仕組みとは異なる

企業型DCの廃止は、従業員が個別に制度から脱退するケースとは異なります。
従業員個人が退職や転職などで企業型DCを離れる場合は、その人だけが制度から外れますが、制度廃止の場合は全従業員が一斉に対象となります。
このため、廃止時には全従業員の資産移換や説明責任など、企業としての大きな対応が必要です。
個別脱退と制度廃止の違いを理解し、適切な手続きを進めることが重要です。

項目 個別脱退 制度廃止
対象者 退職・転職者のみ 全従業員
手続き 個人単位 企業全体
資産移換 個人ごと 一斉に実施

厚生労働省の承認が必要

企業型確定拠出年金を廃止するには、厚生労働省の承認が必須となります。
企業が一方的に制度を終了することはできず、まずは労使合意を得たうえで、規約廃止の届出を厚生労働省に提出し、正式な承認を受ける必要があります。
承認が下りるまでは制度の廃止は認められませんので、スケジュール管理や必要書類の準備など、計画的な対応が求められます。
この手続きは法的にも厳格に定められているため、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

  • 労使合意の取得
  • 規約廃止届の提出
  • 厚生労働省の承認

廃止の背景と理由

制度運営コストや事務負担の増大

企業型確定拠出年金の廃止を検討する背景には、制度運営にかかるコストや事務負担の増大があります。
法改正や運用ルールの複雑化により、管理業務やシステム対応、従業員への説明責任などが年々重くなっています。
特に中小企業では、専門知識を持つ人材の確保が難しく、外部委託費用も無視できません。
こうした負担が経営を圧迫し、制度廃止を選択する企業が増えています。

  • 法改正への対応コスト
  • システム管理費用
  • 従業員説明の手間

従業員数や制度利用率の低下

従業員数の減少や、企業型DCの利用率が低下していることも、制度廃止の大きな理由です。
従業員が少ない場合、制度維持のためのコストが割高になり、効率的な運用が難しくなります。
また、従業員の多くがiDeCoなど他の年金制度を選択している場合、企業型DCの意義が薄れ、廃止を検討するケースが増えています。
このような状況では、より柔軟な退職金制度への移行が求められることもあります。

他の退職金制度への切り替えニーズ

企業型DCから他の退職金制度への切り替えを希望する企業も増えています。
確定給付企業年金(DB)やポイント制退職金制度、企業独自の退職一時金制度など、企業の実情や従業員のニーズに合わせた制度設計が求められるようになっています。
特に、従業員のライフプランや企業の人事戦略に合致した制度を導入することで、従業員満足度の向上や人材確保につなげる動きが活発化しています。

企業型DC廃止の手続き

労使合意を得て基本方針を決定

企業型確定拠出年金を廃止する際は、まず労使間で十分な協議を行い、廃止の基本方針について合意を得ることが不可欠です。
従業員代表や労働組合と話し合い、廃止理由や今後の資産移換、代替制度の導入方針などを明確に説明し、納得を得ることが重要です。
この合意がなければ、法的にも廃止手続きを進めることはできません。
また、合意内容は議事録や書面でしっかり残しておくことがトラブル防止につながります。

  • 廃止理由の説明
  • 資産移換の方針確認
  • 代替制度の検討

規約廃止の届出を厚生労働省へ提出

労使合意が得られたら、次に企業は企業型DCの規約廃止届を厚生労働省へ提出します。
この届出には、廃止理由や労使合意の証明書類、従業員への説明資料などが必要です。
提出後、厚生労働省による審査が行われ、内容に問題がなければ承認されます。
この手続きは数か月かかる場合もあるため、スケジュールに余裕を持って準備しましょう。

  • 規約廃止届の作成
  • 必要書類の添付
  • 厚生労働省への提出

承認後に制度終了となる

厚生労働省から規約廃止の承認が下りると、正式に企業型DC制度は終了となります。
この時点で新たな掛金の拠出は停止され、従業員の資産は移換手続きへと進みます。
制度終了後も、従業員への説明や移換サポートなど、企業としての責任は続きますので、最後まで丁寧な対応が求められます。
また、制度終了日以降の運用指図や管理業務も停止となるため、事前に従業員へ周知徹底しましょう。

廃止後の従業員資産の扱い

原則としてiDeCoへの移換

企業型DCが廃止された場合、従業員の年金資産は原則として個人型確定拠出年金(iDeCo)へ移換されます。
従業員は自らiDeCoの口座を開設し、企業型DCで積み立てた資産を移す手続きを行う必要があります。
この移換により、従業員は引き続き自分の資産を運用し、老後の資金形成を継続できます。
ただし、移換手続きには期限があるため、早めの対応が重要です。

  • iDeCo口座の開設
  • 資産移換の申請
  • 運用商品の選択

移換しない場合は自動移換となるリスク

従業員が期限内にiDeCoへの移換手続きを行わない場合、資産は自動的に国民年金基金連合会へ移換されます。
この自動移換期間中は運用ができず、管理手数料も発生するため、資産が目減りするリスクがあります。
従業員にとって不利益となるため、企業は移換手続きの重要性をしっかり周知し、サポート体制を整えることが求められます。

移換方法 メリット デメリット
iDeCoへ移換 運用継続可能 手続きが必要
自動移換 手続き不要 運用不可・手数料発生

従業員が運用商品を再選択する必要がある

iDeCoへ資産を移換する際、従業員は新たに運用商品を選択し直す必要があります。
企業型DCで選んでいた商品と同じものがiDeCoで選べるとは限らないため、リスクやリターンをよく考えて商品を選ぶことが大切です。
また、運用方針の見直しや、将来の資産形成プランについても再検討する良い機会となります。
企業は従業員に対して、運用商品の選び方や資産運用の基礎知識を提供することが望ましいでしょう。

廃止に伴う注意点

従業員への十分な説明が不可欠

企業型DCの廃止は従業員の将来設計に大きな影響を与えるため、十分な説明が不可欠です。
廃止理由や今後の資産移換手続き、代替制度の内容などを分かりやすく伝え、従業員の不安や疑問に丁寧に対応しましょう。
説明会の開催やFAQの作成、個別相談窓口の設置など、情報提供の工夫が重要です。
従業員の理解と納得を得ることで、トラブルや不満の発生を防ぐことができます。

  • 説明会の実施
  • FAQの配布
  • 個別相談の実施

移換手続きの支援を行うことが望ましい

従業員がスムーズに資産移換できるよう、企業は手続きのサポートを行うことが望まれます。
iDeCo口座開設の方法や必要書類の案内、移換申請のサポートなど、実務的な支援が従業員の負担軽減につながります。
また、移換期限のリマインドや、手続き完了までのフォローアップも重要です。
従業員の資産を守るためにも、企業として積極的な支援体制を整えましょう。

福利厚生制度縮小として不満を招く可能性

企業型DCの廃止は、従業員にとって福利厚生制度の縮小と受け取られる場合があります。
特に、代替となる退職金制度や年金制度が十分でない場合、不満や離職リスクが高まる可能性があります。
企業は、廃止後の新たな制度設計や、従業員の将来設計をサポートする施策を検討し、従業員満足度の維持・向上に努めることが重要です。
制度変更の際は、従業員の声をしっかりと反映させる姿勢が求められます。

他制度への移行事例

確定給付企業年金(DB)への移行

企業型確定拠出年金(DC)を廃止した後、確定給付企業年金(DB)へ移行する事例は多く見られます。
DBは企業が将来の給付額を約束する制度であり、従業員にとっては老後の資金計画が立てやすいというメリットがあります。
一方で、企業側は運用リスクや積立不足リスクを負うことになるため、財務体力や長期的な人事戦略を踏まえた慎重な検討が必要です。
DBへの移行は、従業員の安心感を重視する企業に適した選択肢といえるでしょう。

制度 特徴
企業型DC 拠出額が確定、運用リスクは従業員
DB 給付額が確定、運用リスクは企業

ポイント制退職金制度の導入

近年では、ポイント制退職金制度を導入する企業も増えています。
この制度は、従業員の勤続年数や評価、役職などに応じてポイントを付与し、退職時にそのポイントに応じた退職金を支給する仕組みです。
運用リスクがなく、制度設計の自由度が高いことから、中小企業を中心に導入が進んでいます。
従業員にとっても、ポイントの積み上げが可視化されるため、モチベーション向上につながるメリットがあります。

  • 運用リスクがない
  • 制度設計の自由度が高い
  • 従業員のモチベーション向上

企業独自の退職一時金制度への切り替え

企業型DC廃止後、企業独自の退職一時金制度へ切り替えるケースもあります。
この制度は、退職時に一括で退職金を支給するシンプルな仕組みで、企業の財務状況や人事方針に合わせて柔軟に設計できます。
ただし、長期的な資産形成や老後資金の確保という観点では、従業員自身が資産運用を行う必要があるため、教育やサポート体制の充実が求められます。
企業の規模や従業員構成に応じて、最適な制度を選択することが重要です。

経営者・人事が押さえるべき視点

廃止は長期的な人事戦略に直結する

企業型DCの廃止は、単なるコスト削減策ではなく、企業の長期的な人事戦略に直結する重要な決断です。
退職金や年金制度は、従業員の定着やモチベーション、企業のブランドイメージにも大きく影響します。
廃止を検討する際は、短期的な視点だけでなく、将来の人材確保や組織の持続的成長を見据えた判断が求められます。
経営層と人事部門が連携し、全社的な視点で制度設計を見直しましょう。

従業員満足度や採用への影響を考慮

退職金や年金制度の変更は、従業員満足度や新規採用にも大きな影響を与えます。
福利厚生の充実度は、優秀な人材の確保や定着率向上に直結するため、制度廃止によるネガティブな影響を最小限に抑える工夫が必要です。
代替制度の充実や、従業員への丁寧な説明、キャリア支援策の強化など、総合的な人事施策を検討しましょう。
採用活動においても、制度変更の内容やメリットを積極的に発信することが重要です。

専門家と相談して制度設計を見直す

企業型DCの廃止や新たな退職金制度の導入にあたっては、社会保険労務士や年金コンサルタントなどの専門家と相談することが不可欠です。
法令遵守や手続きの正確性、従業員への影響評価など、専門的な知見を活用することで、トラブルやリスクを未然に防ぐことができます。
また、他社事例や最新の法改正動向も参考にしながら、自社に最適な制度設計を目指しましょう。

まとめ:企業型DC廃止は慎重に判断すべき

制度廃止には法的手続きと労使合意が必須

企業型確定拠出年金の廃止には、労使合意の取得と厚生労働省への届出・承認という法的手続きが必須です。
一方的な廃止は認められず、従業員の理解と納得を得ることが大前提となります。
手続きの流れや必要書類を事前に確認し、計画的に進めることが重要です。

従業員資産の移換を円滑に進める必要がある

廃止後は、従業員の年金資産をiDeCoなどへ円滑に移換することが求められます。
移換手続きのサポートや、従業員への情報提供を徹底し、資産の目減りやトラブルを防ぎましょう。
従業員の将来設計を守るためにも、企業として責任ある対応が不可欠です。

退職金制度全体を見据えて最適な形を選ぶことが重要

企業型DCの廃止は、退職金制度全体の見直しの一環として捉えるべきです。
自社の経営方針や従業員のニーズ、法改正の動向などを総合的に考慮し、最適な退職金・年金制度を選択しましょう。
慎重な検討と丁寧な対応が、企業と従業員双方の将来を守るカギとなります。

NO IMAGE
最新情報をチェックしよう!