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基本給連動型退職金とは?仕組み・計算方法・他制度との違いをわかりやすく解説

この記事は、企業の人事担当者や経営者、または退職金制度について知りたい従業員の方を対象にしています。
「基本給連動型退職金」とは何か、その仕組みや計算方法、他の退職金制度との違い、メリット・デメリット、導入や移行のポイントまで、わかりやすく解説します。
退職金制度の見直しや導入を検討している方、将来の退職金額が気になる方に役立つ内容です。

目次

基本給連動型の退職金制度とは?

基本給連動型の退職金制度とは、退職時の基本給と勤続年数、そして会社が定める支給率を掛け合わせて退職金額を決定する仕組みです。
この方式は、従業員の給与水準や在籍期間が長いほど退職金が高くなる特徴があります。
多くの日本企業で長年採用されてきた伝統的な制度であり、年功序列型の賃金体系と相性が良いとされています。
また、退職理由や役職によっても支給率が変動する場合があり、柔軟な設計が可能です。

退職金額が基本給と勤続年数に応じて決まる仕組み

基本給連動型退職金制度では、退職時点の基本給に勤続年数や支給率を掛けて退職金額を算出します。
例えば、基本給30万円、勤続年数20年、支給率1.5の場合、「30万円×20年×1.5=900万円」となります。
このように、在籍期間が長く、基本給が高いほど退職金も増加するため、長期勤続を促すインセンティブにもなります。
また、支給率は会社ごとに異なり、勤続年数や退職理由によって細かく設定されることが一般的です。

日本の伝統的な退職金制度のひとつ

基本給連動型は、日本の企業で長年採用されてきた伝統的な退職金制度です。
高度経済成長期から続く年功序列型の賃金体系と密接に結びついており、長く勤めるほど退職金が増える仕組みが特徴です。
この制度は、従業員の定着率向上や企業への忠誠心を高める効果が期待されてきました。
一方で、近年は多様な働き方や人事制度の変化により、他の退職金制度への移行を検討する企業も増えています。

確定給付型(DB)の一形態に分類される

基本給連動型退職金制度は、確定給付型(DB:Defined Benefit)退職給付制度の一形態に分類されます。
確定給付型とは、将来の退職金額があらかじめ計算式で決まっている制度であり、企業がその給付額を保証します。
このため、従業員は将来受け取る退職金額を予測しやすい一方、企業側は将来の人件費負担や退職給付債務の管理が必要となります。
基本給連動型は、確定給付型の中でも特にシンプルで分かりやすい方式です。

基本給連動型と他の制度の違い

退職金制度には、基本給連動型以外にもさまざまな方式が存在します。
代表的なものとして、ポイント制退職金制度や確定拠出年金(DC)、ハイブリッド型などが挙げられます。
それぞれの制度には特徴やメリット・デメリットがあり、企業の経営方針や人事戦略に応じて選択されています。
ここでは、基本給連動型と他の主要な退職金制度との違いを詳しく比較・解説します。

ポイント制退職金制度との比較

ポイント制退職金制度は、従業員の勤続年数や評価、役職などに応じてポイントを付与し、その合計ポイントに単価を掛けて退職金額を算出する方式です。
基本給連動型と異なり、給与水準に左右されず、より柔軟な設計が可能です。
また、業績や評価を反映しやすい点も特徴です。
一方、計算方法が複雑になりやすく、従業員にとって将来の退職金額が予測しにくい場合もあります。

項目 基本給連動型 ポイント制
計算基準 基本給×勤続年数×支給率 ポイント×単価
予測のしやすさ 高い やや低い
柔軟性 低い 高い

確定拠出年金(DC)との違い

確定拠出年金(DC)は、企業や従業員が毎月一定額を積み立て、その運用成果によって将来の受取額が決まる制度です。
基本給連動型のように企業が給付額を保証するのではなく、運用リスクは従業員が負う点が大きな違いです。
DCは、企業にとって退職給付債務のリスクを軽減できるメリットがありますが、従業員にとっては運用成績によって受取額が変動するため、将来の金額が不確定となります。

項目 基本給連動型 確定拠出年金(DC)
給付額の確定性 高い 低い(運用次第)
運用リスク 企業 従業員

ハイブリッド型との関係

ハイブリッド型退職金制度は、確定給付型(DB)と確定拠出型(DC)の両方の特徴を組み合わせた制度です。
例えば、一定額までは基本給連動型で給付し、それを超える部分はDCで運用するなど、企業と従業員のリスク分担を調整できます。
近年は、企業の財務リスク軽減や多様な働き方への対応を目的に、ハイブリッド型を導入する企業も増えています。
基本給連動型のメリットを活かしつつ、柔軟な制度設計が可能です。

基本給連動型のメリット

基本給連動型退職金制度には、従業員・企業双方にとって多くのメリットがあります。
特に、将来の退職金額が予測しやすいことや、長期勤続を促すインセンティブとなる点が大きな特徴です。
また、制度設計が比較的シンプルで、導入や運用の手間が少ないことも企業にとっての利点です。
以下で、具体的なメリットを詳しく解説します。

社員にとって将来の退職金額が予測しやすい

基本給連動型は、退職時の基本給と勤続年数、支給率という明確な計算式があるため、従業員自身が将来の退職金額を簡単にシミュレーションできます。
これにより、ライフプランや老後資金の設計がしやすくなり、安心して長く働くことができます。
また、昇給や昇進による基本給の増加が退職金額に直結するため、モチベーション向上にもつながります。

  • 将来の退職金額が明確
  • ライフプラン設計がしやすい
  • 昇給・昇進のインセンティブになる

長期勤続を促すインセンティブになる

この制度は、勤続年数が長いほど退職金が増える仕組みのため、従業員の定着率向上に寄与します。
長く働くほどメリットが大きくなるため、企業への忠誠心やモチベーションの維持にも効果的です。
特に、年功序列型の人事制度を採用している企業では、従業員の安定的な雇用を実現しやすくなります。

  • 長期勤続を促進
  • 従業員の定着率向上
  • 企業への忠誠心アップ

企業にとっても制度設計がシンプル

基本給連動型は、計算式がシンプルで分かりやすいため、制度設計や運用が容易です。
複雑なポイント管理や運用リスクの分担が不要で、管理コストも抑えられます。
また、従業員への説明や理解促進もしやすく、トラブルの防止にもつながります。
中小企業でも導入しやすい制度です。

  • 計算・運用が簡単
  • 管理コストが低い
  • 従業員への説明がしやすい

基本給連動型のデメリット

一方で、基本給連動型退職金制度にはいくつかのデメリットも存在します。
特に、将来的な人件費負担の増加や、退職給付債務が企業の財務に与える影響、中途退職者への不利な扱いなどが挙げられます。
これらの点を十分に理解し、制度設計や運用時に注意が必要です。

人件費負担が将来的に増加する可能性

基本給連動型は、従業員の基本給や勤続年数が増えるほど退職金額も増加します。
そのため、長期的に見ると企業の人件費負担が大きくなりやすい傾向があります。
特に、年功序列型の賃金体系を維持している場合、退職金の総額が予想以上に膨らむリスクもあります。
人件費のコントロールが難しくなる点は、経営上の大きな課題です。

  • 人件費負担が増加しやすい
  • 退職金総額が膨らむリスク
  • 経営計画に影響を与える可能性

退職金債務が企業のバランスシートに影響

確定給付型である基本給連動型は、将来支払うべき退職金債務を企業のバランスシートに計上する必要があります。
これにより、財務諸表上の負債が増加し、企業の財務健全性や資金調達力に影響を与える場合があります。
特に、上場企業や大企業では、退職給付会計の観点から慎重な管理が求められます。

  • バランスシート上の負債増加
  • 財務健全性への影響
  • 会計管理の手間が増える

中途退職者に不利になりやすい

基本給連動型は、勤続年数が短い場合や中途退職の場合、支給率が低く設定されていることが多く、退職金額が少なくなりがちです。
そのため、転職やキャリアチェンジを考える従業員にとっては不利な制度となる場合があります。
多様な働き方が広がる現代においては、この点がデメリットとして指摘されています。

  • 中途退職者の退職金が少ない
  • 転職希望者に不利
  • 多様な働き方に対応しにくい

退職金計算の仕組み

基本給連動型退職金制度の計算方法はシンプルですが、いくつかの要素が組み合わさっています。
主に「基本給×勤続年数×支給率」という計算式が用いられますが、勤続年数ごとの支給率テーブルや役職・職種による加算など、企業ごとに細かな違いがあります。
ここでは、計算の基本的な仕組みとポイントを解説します。

基本給 × 勤続年数 × 支給率

最も一般的な計算式は「退職時の基本給×勤続年数×支給率」です。
例えば、退職時の基本給が30万円、勤続年数が20年、支給率が1.5の場合、「30万円×20年×1.5=900万円」となります。
支給率は企業ごとに異なり、勤続年数や退職理由によって変動することもあります。
このシンプルな計算式が、基本給連動型の大きな特徴です。

勤続年数ごとの支給率テーブル

多くの企業では、勤続年数に応じて支給率を段階的に設定しています。
例えば、10年未満は1.0、10年以上20年未満は1.2、20年以上は1.5など、勤続年数が長いほど支給率が高くなる仕組みです。
これにより、長期勤続者へのインセンティブが強化されます。
また、退職理由(定年・自己都合・会社都合)によっても支給率が異なる場合があります。

勤続年数 支給率(例)
10年未満 1.0
10年以上20年未満 1.2
20年以上 1.5

役職・職種による加算の有無

企業によっては、役職や職種に応じて退職金に加算を行う場合があります。
例えば、管理職や専門職には加算率を上乗せすることで、責任や貢献度を反映させることができます。
このような加算制度を設けることで、従業員のモチベーション向上や人材確保にもつながります。
ただし、加算の有無や内容は企業ごとに異なるため、就業規則や退職金規程を確認することが重要です。

企業における導入のポイント

基本給連動型退職金制度を導入する際には、企業の財務状況や人事戦略、将来的な人件費の見通しなど、さまざまな観点から慎重に検討する必要があります。
特に、制度の持続可能性や退職給付会計への影響、他の退職給付制度との併用の可否などが重要なポイントとなります。
ここでは、導入時に押さえておきたいポイントを解説します。

人件費予測と制度の持続可能性

基本給連動型は、従業員の基本給や勤続年数の増加に伴い、将来的な人件費負担が大きくなる可能性があります。
そのため、長期的な人件費のシミュレーションを行い、制度が持続可能かどうかを事前に検討することが重要です。
また、経営環境の変化や人員構成の推移も考慮し、柔軟に見直しができる体制を整えておくことが望ましいです。

  • 長期的な人件費シミュレーションが必要
  • 経営環境の変化に対応できる体制
  • 制度の持続可能性を重視

退職給付会計上の影響を考慮する

確定給付型である基本給連動型は、将来の退職給付債務をバランスシートに計上する必要があります。
これにより、企業の財務指標や資金調達力に影響を与える場合があるため、会計上の影響を十分に把握しておくことが大切です。
特に上場企業や大企業では、退職給付会計基準に基づく適切な管理が求められます。

  • 退職給付債務の計上が必要
  • 財務指標への影響を把握
  • 会計基準に沿った管理体制

他の退職給付制度との併用を検討

近年は、基本給連動型とポイント制や確定拠出年金(DC)など、他の退職給付制度を併用する企業も増えています。
これにより、企業と従業員双方のリスク分散や、多様な働き方への対応が可能となります。
自社の人事戦略や従業員のニーズに合わせて、最適な組み合わせを検討しましょう。

  • 複数制度の併用でリスク分散
  • 多様な働き方に対応
  • 従業員のニーズに合わせた設計

基本給連動型からの移行ケース

近年、基本給連動型からポイント制や確定拠出年金(DC)など、他の退職金制度へ移行する企業が増えています。
その背景には、財務リスクの軽減や多様な働き方への対応、制度の柔軟性向上などがあります。
移行時には、社員への丁寧な説明や既存社員と新入社員で制度を分けるケースも見られます。
ここでは、移行の具体的な事例や注意点を紹介します。

ポイント制や確定拠出年金への移行事例

多くの企業が、財務リスクの軽減や人件費のコントロールを目的に、ポイント制や確定拠出年金(DC)へ移行しています。
ポイント制では、評価や業績を反映しやすく、DCでは企業の負担が明確になるため、経営の安定化につながります。
移行時には、従業員の理解と納得を得るための説明が不可欠です。

  • 財務リスク軽減を目的とした移行
  • 人件費コントロールがしやすい
  • 従業員への説明が重要

移行時の社員への説明が重要

退職金制度の変更は、従業員の将来設計に大きな影響を与えるため、移行時には十分な説明とコミュニケーションが不可欠です。
制度変更の理由や新制度のメリット・デメリット、移行スケジュールなどを丁寧に伝えることで、従業員の不安や不満を軽減できます。
説明会や個別相談の実施も有効です。

  • 丁寧な説明とコミュニケーション
  • 移行理由やメリット・デメリットの明示
  • 説明会や個別相談の実施

既存社員と新入社員で制度を分けるケース

移行時には、既存社員には従来の基本給連動型を適用し、新入社員から新制度を導入する「二本立て方式」を採用する企業もあります。
これにより、既存社員の不利益を回避しつつ、将来的な人件費負担のコントロールが可能となります。
ただし、制度の複雑化や公平性の観点から、慎重な運用が求められます。

  • 既存社員と新入社員で制度を分ける
  • 既存社員の不利益回避
  • 制度運用の複雑化に注意

まとめ:基本給連動型退職金の特徴を理解する

基本給連動型退職金制度は、日本の伝統的な制度であり、シンプルで分かりやすい設計が特徴です。
将来の退職金額が予測しやすく、長期勤続を促すインセンティブとなる一方で、人件費負担や退職給付債務の増加、中途退職者への不利などの課題もあります。
制度導入や見直しの際は、メリット・デメリットを十分に理解し、自社に最適な制度設計を検討しましょう。

伝統的でわかりやすい制度設計

基本給連動型は、計算式が明確で従業員にも理解しやすい制度です。
日本企業の多くで長年採用されてきた実績があり、安心感や信頼性も高いと言えます。
ただし、時代の変化に合わせた見直しも重要です。

メリット・デメリットを踏まえて導入を判断

制度のメリット・デメリットをしっかり把握し、自社の経営方針や人事戦略に合った退職金制度を選択することが大切です。
必要に応じて、他の制度との併用や移行も検討しましょう。

時代に合わせた制度見直しが必要

働き方や雇用環境が多様化する現代においては、退職金制度も柔軟に見直すことが求められます。
従業員のニーズや企業の財務状況を踏まえ、最適な制度設計を目指しましょう。

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