この記事は、企業の経営者や人事担当者、または役員・従業員の資産形成に関心のある方を対象としています。
「インベスターズトラスト」などのオフショア投資商品と、企業型DC(企業型確定拠出年金)を比較し、どちらが合理的な選択肢なのかを税制やリスクの観点から詳しく解説します。
海外投資のメリット・デメリットや、企業型DCの圧倒的な優位性について、初心者にもわかりやすくまとめています。
目次
インベスターズトラストとは何か

インベスターズトラスト(Investors Trust)は、ケイマン諸島などのオフショア地域でライセンスを取得し、生命保険や投資商品を提供している海外保険会社です。
2002年創立で、世界100カ国以上に展開し、グローバルな投資家向けに多様な商品を用意しています。
主に長期積立型の投資商品が中心で、最低月100ドルから始められる点や、国際的な資産分散ができる点が特徴です。
しかし、海外生保型のため日本の金融庁の監督下にはなく、契約や運用に関しては十分な注意が必要です。
海外生保型の長期積立投資商品
インベスターズトラストが提供する商品は、原則として25年などの長期積立を前提とした海外生保型の投資商品です。
生命保険の仕組みを活用しつつ、積立投資による資産形成を目指す設計となっています。
保険と投資が組み合わさっているため、万一の際の保障も付帯する場合がありますが、主な目的は長期的な資産運用です。
長期で積み立てることで複利効果を狙う一方、途中解約時のペナルティや手数料が高い点には注意が必要です。
- 25年など長期積立が基本
- 生命保険と投資が組み合わさった商品
- 万一の保障が付く場合もある
ドル建て・クレジット方式を採用したオフショア投資
インベスターズトラストの商品は、主に米ドル建てで運用されることが多く、クレジットカード決済による積立が可能です。
オフショア(海外)での運用となるため、日本国内の金融商品とは異なる規制やリスクが存在します。
ドル建てであることから為替変動の影響を受けやすく、円安・円高によって最終的な受取額が大きく変動する可能性があります。
また、クレジットカード決済は手軽ですが、カード会社の規約変更や利用停止リスクも考慮が必要です。
- 米ドル建てで運用
- クレジットカードで積立可能
- 為替リスクが常に伴う
積立期間中の柔軟性が低いという特徴
インベスターズトラストの積立商品は、契約時に定めた期間(例:25年)を完了することが前提となっています。
途中で積立を停止したり、解約した場合には高額なペナルティが発生するため、柔軟な資金移動や運用商品の変更が難しいのが実情です。
また、積立額の増減や一時的な休止も制限が多く、長期にわたり継続できるかどうかが大きなポイントとなります。
この柔軟性の低さは、ライフプランの変化に対応しづらいというデメリットにつながります。
- 途中解約ペナルティが大きい
- 積立額の変更や休止が難しい
- 長期継続が前提
オフショア投資が選ばれる理由

節税や高利回りのイメージが強い
オフショア投資が注目される理由の一つは、節税や高利回りが期待できるというイメージが強いことです。
日本国内の金融商品と比べて、税制面で有利とされる説明や、海外の成長市場に投資できることで高いリターンが得られるといった営業トークが多く見受けられます。
しかし、実際には税制優遇の恩恵を受けるには複雑な条件があり、必ずしも高利回りが保証されているわけではありません。
このようなイメージ先行の情報には注意が必要です。
- 節税メリットが強調される
- 高利回りのイメージが先行
- 実際のリターンは保証されない
外貨建てで資産分散ができると考えられている
オフショア投資は、米ドルやユーロなどの外貨建てで運用されるため、円資産だけでなくグローバルに資産を分散できると考えられています。
為替リスクを取ることで、円安時には資産価値が上昇する可能性もあります。
また、海外の株式や債券など多様な資産にアクセスできる点も魅力とされています。
ただし、為替変動による損失リスクや、海外特有の規制・手数料なども十分に理解しておく必要があります。
- 外貨建てで運用
- 資産分散が可能
- 為替リスクも伴う
営業トークが魅力的で誤解が広がりやすい
オフショア投資は、営業担当者による魅力的なトークが多く、誤解が広がりやすい分野です。
「日本の制度より有利」「必ず高利回り」「節税効果が絶大」など、実態以上にメリットが強調されることが少なくありません。
実際には、手数料や途中解約ペナルティ、為替リスクなどのデメリットが大きい場合も多く、契約前に十分な情報収集とリスク理解が不可欠です。
営業トークだけで判断せず、冷静に比較検討することが重要です。
- 営業トークが派手
- メリットが誇張されやすい
- リスク説明が不十分な場合も
インベスターズトラストの注意点

途中解約ペナルティが極めて大きい
インベスターズトラストの積立商品は、契約期間中に解約すると非常に大きなペナルティが発生します。
特に契約初期の数年間は、解約返戻金がほとんど戻らないケースも多く、元本割れリスクが高いです。
長期継続が前提の商品設計のため、ライフプランの変化や急な資金需要に柔軟に対応できない点は大きなデメリットです。
契約前に必ずペナルティの詳細を確認し、無理のない積立計画を立てることが重要です。
- 途中解約で大きな損失
- 初期は元本割れリスクが高い
- 柔軟な資金移動ができない
運用コストや手数料が高くリターンを圧迫する
インベスターズトラストの商品は、運用管理費や各種手数料が高めに設定されていることが多いです。
これらのコストは長期運用においてリターンを大きく圧迫する要因となります。
表面上の利回りが高く見えても、実際の手取りリターンは手数料差し引き後に大きく減少することも珍しくありません。
契約前に必ず手数料体系を確認し、他の投資商品と比較することが大切です。
- 運用管理費が高い
- 各種手数料が複雑
- リターンが圧迫されやすい
長期で利益を得るには強い継続力が必要
インベスターズトラストの商品で利益を得るには、契約期間を通じて積立を継続する強い意志が必要です。
途中で積立をやめたり、解約した場合は大きな損失となるため、長期的な資金計画と生活設計が求められます。
また、積立期間中に経済状況や家計の変化があっても、柔軟に対応できない点もリスクとなります。
無理のない範囲での積立設定が重要です。
- 長期継続が必須
- 途中でやめると損失
- 生活設計の見直しが難しい
為替リスクが常に伴う
インベスターズトラストの商品は主に米ドル建てで運用されるため、為替リスクが常に伴います。
円安時には有利に働くこともありますが、円高になると受取額が大きく減少する可能性があります。
為替相場の変動は予測が難しく、長期運用においては大きなリスク要因となります。
為替リスクを十分に理解し、分散投資やヘッジの検討も必要です。
- 米ドル建てで為替リスク
- 円高時に損失拡大
- 為替ヘッジは別途コストが発生
オフショア投資に関するよくある誤解

必ず高利回りが出るという誤解
オフショア投資は「海外だから高利回りが期待できる」といった誤解が広がりがちです。
しかし、実際の運用成績は市場環境や選択したファンド、手数料などによって大きく左右されます。
また、過去の実績が将来のリターンを保証するものではありません。
高利回りをうたう営業トークには注意し、リスクとリターンのバランスを冷静に見極めることが重要です。
- 高利回りは保証されない
- 市場環境に大きく左右される
- 営業トークに惑わされない
節税効果が大きいという誤解
オフショア投資は「節税効果が大きい」と説明されることが多いですが、実際には日本の税制下での課税義務が発生する場合がほとんどです。
海外での運用益も、日本居住者であれば確定申告が必要となり、税務リスクも無視できません。
節税メリットを過信せず、税理士など専門家に相談することが大切です。
- 日本の税制下で課税される
- 確定申告が必要
- 税務リスクもある
日本の制度より優れているという誤解
「日本の制度よりオフショア投資の方が優れている」といった誤解も根強いです。
しかし、日本の企業型DCやiDeCoなどは税制優遇や運用の柔軟性、安全性の面で非常に優れています。
オフショア投資は規制や保護が弱く、トラブル時の対応も難しいため、必ずしも日本の制度より有利とは限りません。
制度の違いを正しく理解し、冷静に比較することが重要です。
- 日本の制度も非常に優秀
- オフショアは規制・保護が弱い
- トラブル時の対応が難しい
企業型DCとオフショア投資の違い

企業型DCは“税制優遇が最強”という事実
企業型DC(確定拠出年金)は、日本国内で最も強力な税制優遇を受けられる資産形成制度です。
掛金は全額損金算入でき、個人の所得税・住民税も非課税となります。
さらに、運用益も非課税で再投資されるため、複利効果が最大限に活かされます。
この税制優遇はオフショア投資では得られない大きなメリットです。
- 掛金が全額損金算入
- 個人課税もゼロ
- 運用益も非課税
企業拠出金は全額損金・個人の課税もゼロ
企業型DCでは、企業が拠出する掛金は全額損金算入でき、法人税の節税効果が非常に高いです。
また、従業員や役員が受け取るまでの間は個人の所得税・住民税もかかりません。
この仕組みにより、企業・個人双方にとって大きな節税メリットが生まれます。
オフショア投資ではこのような税制優遇はありません。
| 項目 | 企業型DC | オフショア投資 |
|---|---|---|
| 掛金の損金算入 | 全額可能 | 不可 |
| 個人課税 | 非課税 | 課税対象 |
運用益が非課税で複利が最大化される
企業型DCの最大の魅力は、運用益が非課税で再投資される点です。
これにより、長期運用で複利効果が最大化され、資産形成のスピードが大きく向上します。
一方、オフショア投資では運用益に対して日本の税制が適用されるため、複利効果が目減りしやすいです。
税制面での差は、長期的な資産形成において圧倒的な違いとなります。
- 運用益が非課税
- 複利効果が最大化
- 長期運用で大きな差
ペナルティなしで商品変更できる柔軟性
企業型DCは、運用商品を途中で変更してもペナルティが発生しません。
市場環境やライフプランの変化に応じて、自由に資産配分を見直すことができます。
一方、インベスターズトラストなどのオフショア投資は、途中解約や商品変更に高額なペナルティがかかるため、柔軟性に大きな差があります。
この柔軟性は、長期的な資産形成において非常に重要なポイントです。
- 商品変更が自由
- ペナルティなし
- ライフプランに合わせやすい
企業型DCが優れている理由

日本の制度で最も有利な資産形成スキーム
企業型DCは、日本国内で利用できる資産形成制度の中でも、税制優遇・運用の自由度・安全性の三拍子が揃った最強のスキームです。
掛金の全額損金算入や運用益の非課税、商品変更の柔軟性など、他の投資商品にはないメリットが多数あります。
また、国の制度として法的な保護も厚く、万一のトラブル時にも安心して資産を守ることができます。
長期的な資産形成を目指す企業や個人にとって、最も合理的な選択肢と言えるでしょう。
- 税制優遇が圧倒的
- 運用の自由度が高い
- 法的保護が強い
社員にも役員にも使える退職金制度になる
企業型DCは、従業員だけでなく役員も加入できるため、会社全体の退職金制度として活用できます。
役員の老後資金対策や、従業員の福利厚生の充実にもつながり、企業の魅力向上にも寄与します。
また、退職金の積立を計画的に行うことで、企業の財務健全性も高まります。
幅広い層にメリットがある制度です。
- 役員も加入可能
- 退職金制度として活用
- 福利厚生の充実
中小企業の節税・社会保険対策にも効果的
中小企業にとって、企業型DCは節税対策や社会保険料の適正化にも大きな効果を発揮します。
掛金が全額損金算入できるため、法人税の負担を軽減でき、社会保険料の算定基礎からも除外される場合があります。
これにより、経営資源を効率的に活用しながら、従業員や役員の将来設計をサポートできます。
中小企業こそ積極的に導入を検討すべき制度です。
- 法人税の節税効果
- 社会保険料の適正化
- 経営資源の有効活用
万一の離職時にも資産は守られる
企業型DCは、従業員や役員が離職した場合でも、個人型DC(iDeCo)への移換が可能です。
これにより、積み立てた資産が無駄になることなく、本人の名義で将来まで守られます。
オフショア投資のように、解約時に大きなペナルティが発生する心配もありません。
転職や独立など、ライフステージの変化にも柔軟に対応できる点が大きな魅力です。
- 離職時も資産が守られる
- iDeCoへの移換が可能
- ペナルティなし
オフショアより企業型DCを優先すべき企業

役員の老後資金を確実に作りたい企業
役員の老後資金を着実に準備したい企業にとって、企業型DCは最適な選択肢です。
税制優遇や運用の自由度、法的保護の観点からも、オフショア投資よりはるかに安全かつ効率的に資産形成が可能です。
長期的な視点で安定した資産形成を目指すなら、企業型DCの導入を強くおすすめします。
- 老後資金の確実な準備
- 安全性・効率性が高い
- 長期的な資産形成に最適
社員の福利厚生を強化し採用・定着を改善したい企業
企業型DCは、社員の福利厚生を強化し、採用力や定着率の向上にも大きく貢献します。
将来の資産形成をサポートする制度があることで、企業の魅力が高まり、優秀な人材の確保や離職防止につながります。
福利厚生の充実を目指す企業には、企業型DCの導入が非常に効果的です。
- 福利厚生の強化
- 採用力・定着率の向上
- 人材確保に有利
リスクを抑えながら長期資産形成をしたい企業
リスクを最小限に抑えつつ、長期的な資産形成を目指す企業には、企業型DCが最も合理的です。
オフショア投資のような為替リスクや途中解約ペナルティがなく、法的な保護も万全です。
安定した資産形成を重視する企業にとって、企業型DCは理想的な選択肢となります。
- リスクを抑えた運用
- 長期資産形成に最適
- 法的保護が強い
どちらを選ぶべきかの判断基準

税制優遇の有無を比較する
投資商品を選ぶ際は、まず税制優遇の有無をしっかり比較しましょう。
企業型DCは掛金の全額損金算入や運用益の非課税など、圧倒的な税制メリットがあります。
一方、オフショア投資は日本の税制下で課税されるため、節税効果は限定的です。
長期的な資産形成を考えるなら、税制優遇の大きさが将来の資産額に大きく影響します。
- 企業型DCは税制優遇が圧倒的
- オフショア投資は課税リスクが高い
途中解約リスクを重視する
途中解約時のリスクも重要な判断基準です。
企業型DCは途中で商品変更や資産移換が可能で、ペナルティもありません。
一方、インベスターズトラストなどのオフショア投資は、途中解約時に高額なペナルティが発生し、元本割れリスクも高いです。
ライフプランの変化や急な資金需要に柔軟に対応できるかどうかを必ず確認しましょう。
- 企業型DCは途中解約リスクが低い
- オフショア投資はペナルティが大きい
手数料と運用コストを必ず確認する
投資のリターンを大きく左右するのが手数料と運用コストです。
企業型DCは比較的低コストで運用できる商品が多く、長期運用で複利効果を最大化できます。
一方、オフショア投資は運用管理費や各種手数料が高く、リターンが圧迫されやすい傾向があります。
契約前に必ず手数料体系を確認し、総合的なコストで比較しましょう。
| 項目 | 企業型DC | オフショア投資 |
|---|---|---|
| 運用コスト | 低い | 高い |
| 手数料 | 明確・低水準 | 複雑・高水準 |
企業全体のメリットがあるかを評価する
投資制度を選ぶ際は、企業全体にとってのメリットも評価しましょう。
企業型DCは、役員・従業員の老後資金準備や福利厚生の充実、法人税の節税など、会社全体に多くの恩恵があります。
一方、オフショア投資は個人のリスクが高く、企業全体のメリットは限定的です。
会社の成長や人材確保の観点からも、企業型DCの導入が合理的です。
- 企業全体のメリットを重視
- 福利厚生・節税・人材確保に有利
結論:企業型DCは制度で勝っている

税制・柔軟性・安全性の全てでDCが優位
企業型DCは、税制優遇、運用の柔軟性、法的な安全性のすべてにおいて、オフショア投資を大きく上回ります。
長期的な資産形成を目指す企業や個人にとって、最も合理的で安心できる選択肢です。
制度としての完成度が高く、将来の資産形成において圧倒的な優位性を持っています。
- 税制・柔軟性・安全性で圧倒的に有利
- 長期資産形成に最適
オフショア投資は個人の高リスク商品である
インベスターズトラストなどのオフショア投資は、為替リスクや途中解約ペナルティ、手数料の高さなど、個人にとって非常に高リスクな商品です。
営業トークに惑わされず、リスクとリターンを冷静に見極めることが重要です。
企業の資産形成や福利厚生には適していません。
- 高リスク商品である
- 企業の資産形成には不向き
企業として選ぶべき制度は企業型DCである
結論として、企業が選ぶべき資産形成制度は企業型DCです。
税制優遇、運用の柔軟性、法的保護、企業全体のメリットなど、あらゆる面でオフショア投資を凌駕しています。
将来の安定した資産形成と企業の成長のために、企業型DCの導入を強くおすすめします。
- 企業型DCが最適な選択肢
- 企業の成長と安定に貢献







