この記事は、企業の人事・総務担当者や経営者、または将来の退職金や年金制度に関心のある従業員の方に向けて書かれています。
「はぐくみ企業年金」と「企業型確定拠出年金(企業型DC)」の違いや特徴、導入メリット、将来資産のシミュレーション、併用の可否など、制度選びに役立つ情報を徹底解説します。
自社に最適な年金制度を選びたい方や、従業員の福利厚生を強化したい方におすすめの記事です。
目次
はぐくみ企業年金と企業型確定拠出年金とは?制度の基本を解説

はぐくみ企業年金と企業型確定拠出年金(企業型DC)は、いずれも企業が従業員のために用意する企業年金制度ですが、その仕組みや特徴には大きな違いがあります。
はぐくみ企業年金は確定給付型、企業型DCは確定拠出型という点が最大の違いです。
それぞれの制度の基本を理解することで、自社や従業員にとって最適な選択肢を見極めることができます。
ここでは、両制度の概要や仕組み、導入の背景について詳しく解説します。
はぐくみ企業年金の仕組みと特徴
はぐくみ企業年金は、2018年に厚生労働大臣の認可を受けて設立された確定給付型の企業年金基金です。
主に福祉・保育・介護など社会貢献度の高い業種で導入が進んでいますが、厚生年金被保険者であれば業種や雇用形態を問わず加入可能です。
掛け金は1,000円から給与の20%まで設定でき、元本保証や運用の手間が少ない点が特徴です。
退職時や休職時、育児・介護休業時にも柔軟に受け取れるため、従業員のライフイベントに合わせた資産形成が可能です。
- 確定給付型で将来の給付額があらかじめ決まっている
- 元本保証があり、運用リスクが低い
- 掛け金は1,000円から柔軟に設定可能
- 退職・休職・育児・介護休業時にも受け取り可能
企業型確定拠出年金(企業型DC)の基礎知識
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、企業が従業員のために毎月一定額の掛け金を拠出し、その資金を従業員自身が運用する年金制度です。
将来の年金額は運用成績によって変動し、原則として60歳以降に一時金または年金として受け取ります。
運用商品は投資信託や定期預金などから選択でき、自己責任で資産を増やすことができる一方、元本割れのリスクもあります。
税制優遇や社会保険料の軽減効果もあり、近年導入企業が増加しています。
- 確定拠出型で将来の給付額は運用次第
- 従業員が運用商品を選択し自己責任で運用
- 原則60歳以降に受け取り
- 税制優遇や社会保険料軽減効果がある
企業型・DB・DC・中退共の違いと併用の可否
企業年金制度には、はぐくみ企業年金(確定給付型)、企業型確定拠出年金(DC)、確定給付企業年金(DB)、中小企業退職金共済(中退共)など複数の種類があります。
それぞれの制度は給付の仕組みや運用方法、税制優遇、導入条件などが異なります。
また、併用が可能な場合もありますが、掛け金の上限や税制上の制約があるため注意が必要です。
自社の規模や従業員構成、福利厚生方針に合わせて最適な組み合わせを検討しましょう。
| 制度名 | 給付方式 | 運用主体 | 併用可否 |
|---|---|---|---|
| はぐくみ企業年金 | 確定給付型 | 基金 | 可(制限あり) |
| 企業型DC | 確定拠出型 | 従業員 | 可(制限あり) |
| DB | 確定給付型 | 企業 | 可(制限あり) |
| 中退共 | 退職金共済 | 共済会 | 可(制限あり) |
徹底比較!はぐくみ企業年金と企業型確定拠出年金の違い

拠出金・掛け金・運用の違い
はぐくみ企業年金と企業型確定拠出年金(企業型DC)は、拠出金や掛け金の仕組み、運用方法に大きな違いがあります。
はぐくみ企業年金は企業が拠出した掛け金を基金が一括して運用し、将来の給付額があらかじめ決まっているため、従業員は運用リスクを負いません。
一方、企業型DCは企業が拠出した掛け金を従業員ごとに分け、従業員自身が運用商品を選択して運用します。
そのため、将来の受取額は運用成績によって変動し、元本割れのリスクもあります。
| 項目 | はぐくみ企業年金 | 企業型DC |
|---|---|---|
| 拠出方法 | 企業が基金に拠出 | 企業が個人ごとに拠出 |
| 運用主体 | 基金 | 従業員本人 |
| 運用リスク | なし(元本保証) | あり(元本割れの可能性) |
受け取り方・給付額・給与明細への反映
はぐくみ企業年金は、退職時や休職時、育児・介護休業時など、従業員のライフイベントに合わせて柔軟に受け取ることができます。
給付額はあらかじめ決まっており、給与明細にも掛け金が明記されるため、従業員にとって分かりやすい仕組みです。
一方、企業型DCは原則60歳以降に一時金または年金として受け取ることができ、受取額は運用成績によって変動します。
給与明細には掛け金が記載され、税制優遇や社会保険料の軽減効果も反映されます。
- はぐくみ企業年金:退職・休職・育児・介護休業時に受け取り可能
- 企業型DC:原則60歳以降に受け取り
- 給付額の確定性ははぐくみ企業年金が高い
企業・従業員双方のメリットとデメリット
両制度には企業・従業員それぞれにメリットとデメリットがあります。
はぐくみ企業年金は元本保証や運用の手間が少ない点が魅力ですが、企業の負担がやや大きくなる場合もあります。
企業型DCは税制優遇や社会保険料の軽減効果が高く、従業員が自分で運用できる自由度がありますが、運用リスクや元本割れの可能性もあります。
自社の方針や従業員のニーズに合わせて選択することが重要です。
| 制度 | 企業のメリット | 企業のデメリット | 従業員のメリット | 従業員のデメリット |
|---|---|---|---|---|
| はぐくみ企業年金 | 福利厚生強化、離職率低下 | 負担増の可能性 | 元本保証、柔軟な受け取り | 運用益の上限 |
| 企業型DC | 社会保険料軽減、税制優遇 | 運用教育の必要性 | 運用益次第で増額 | 運用リスク、元本割れ |
導入・採用条件と企業・事業主の負担感
はぐくみ企業年金は、厚生年金被保険者であれば業種や規模を問わず導入可能ですが、掛け金の設定や基金への加入手続きが必要です。
企業型DCは、企業が制度を設計し、従業員ごとに掛け金を拠出する必要があります。
どちらも初期導入時の手続きや運用管理の負担がありますが、はぐくみ企業年金は運用の手間が少なく、企業型DCは運用教育やサポート体制の整備が求められます。
中小企業向けの支援策もあるため、負担を軽減しながら導入することが可能です。
- はぐくみ企業年金:導入手続きは比較的簡単、運用の手間が少ない
- 企業型DC:運用教育やサポート体制が必要
- 中小企業向けの支援策あり
はぐくみ企業年金・企業型確定拠出年金を徹底シミュレーション

将来資産・退職金のシミュレーション例
はぐくみ企業年金と企業型DCの将来資産や退職金をシミュレーションすることで、どちらが自社や従業員にとって有利かを具体的にイメージできます。
例えば、毎月1万円を20年間積み立てた場合、はぐくみ企業年金は元本保証で約240万円(+利息)となります。
企業型DCは運用利回りによって受取額が変動し、年利3%で運用できれば約325万円、運用がうまくいかない場合は元本割れのリスクもあります。
このように、将来の資産形成におけるリスクとリターンの違いを把握することが重要です。
| 制度 | 毎月掛け金 | 積立期間 | 想定利回り | 受取額(概算) |
|---|---|---|---|---|
| はぐくみ企業年金 | 1万円 | 20年 | 元本保証 | 約240万円+利息 |
| 企業型DC | 1万円 | 20年 | 年利3% | 約325万円 |
月額・年額の掛け金と社会保険料軽減効果
はぐくみ企業年金と企業型DCは、掛け金の設定や社会保険料の軽減効果にも違いがあります。
はぐくみ企業年金は掛け金を1,000円から給与の20%まで柔軟に設定でき、社会保険料や所得税の削減効果も期待できます。
企業型DCも掛け金の上限があり、選択制にすることで従業員の給与から天引きし、社会保険料の負担を軽減することが可能です。
両制度ともに、企業・従業員双方にとってコストパフォーマンスの高い福利厚生制度となります。
- はぐくみ企業年金:掛け金1,000円~給与の20%まで設定可能
- 企業型DC:掛け金上限あり、選択制で社会保険料軽減
- どちらも税制優遇あり
運用次第で増減する元本・リスクと元本割れ
はぐくみ企業年金は元本保証があり、運用リスクがほとんどありません。
一方、企業型DCは運用商品によっては元本割れのリスクがあり、従業員の運用スキルや知識が将来の資産額に大きく影響します。
リスクを抑えたい場合ははぐくみ企業年金、リターンを狙いたい場合は企業型DCが適しています。
自社や従業員のリスク許容度に応じて選択しましょう。
| 制度 | 元本保証 | リスク | リターン |
|---|---|---|---|
| はぐくみ企業年金 | あり | 低い | 安定 |
| 企業型DC | なし | 高い | 運用次第 |
「はぐくみ企業年金は怪しい?」「企業型DCはデメリットしかない?」よくある疑問を検証

怪しいと噂される理由と実際の制度上のポイント
はぐくみ企業年金が「怪しい」と噂される理由には、比較的新しい制度であることや、従来の退職金制度と異なる仕組みが注目されていることが挙げられます。
しかし、はぐくみ企業年金は厚生労働大臣の認可を受けて設立されており、法的にも信頼性の高い制度です。
元本保証や柔軟な受け取り方法など、従業員にとってメリットが多い一方で、制度の詳細や運用ルールを正しく理解しないと誤解を招くこともあります。
導入前には公式情報や専門家のアドバイスを活用しましょう。
- 厚生労働大臣認可の公的制度
- 元本保証・柔軟な受け取りが特徴
- 新しい制度ゆえの誤解や不安が生じやすい
企業型確定拠出年金のデメリットへの正しい理解
企業型確定拠出年金(企業型DC)は「デメリットしかない」と言われることもありますが、正しく理解すれば多くのメリットも享受できます。
主なデメリットは、運用リスクや元本割れの可能性、運用知識が必要な点です。
しかし、税制優遇や社会保険料の軽減、運用益による資産増加のチャンスもあります。
従業員への運用教育やサポート体制を整えることで、リスクを抑えつつメリットを最大化できます。
- 運用リスク・元本割れの可能性
- 運用知識が必要
- 税制優遇や社会保険料軽減のメリットも大きい
運用リスクや受給時期・方法の注意点
はぐくみ企業年金は元本保証があるため運用リスクはほぼありませんが、企業型DCは運用商品によっては元本割れのリスクがあります。
また、企業型DCは原則60歳以降でないと受け取れないため、急な資金需要には対応しにくい点も注意が必要です。
一方、はぐくみ企業年金は退職・休職・育児・介護休業時にも受け取りが可能です。
それぞれの制度の受給時期や方法、リスクを事前に確認し、従業員にしっかり説明することが大切です。
| 制度 | 運用リスク | 受給時期 | 受給方法 |
|---|---|---|---|
| はぐくみ企業年金 | ほぼなし | 退職・休職・育児・介護休業時 | 一時金・年金 |
| 企業型DC | あり | 原則60歳以降 | 一時金・年金 |
企業における導入効果と従業員への影響
福利厚生強化・離職率低下の効果
はぐくみ企業年金や企業型DCの導入は、企業の福利厚生を強化し、従業員の定着率向上や離職率低下に大きく貢献します。
特に、将来の資産形成や退職金制度の充実は、従業員の安心感や企業への信頼感を高める要素となります。
また、福利厚生の充実は採用活動でも大きなアピールポイントとなり、優秀な人材の確保にもつながります。
企業のイメージアップや従業員満足度向上を目指すなら、年金制度の導入は有効な施策です。
- 従業員の安心感・信頼感向上
- 離職率低下・定着率向上
- 採用活動でのアピールポイント
導入手順・費用と中小企業への支援策
はぐくみ企業年金や企業型DCの導入には、制度設計や手続き、初期費用が必要ですが、中小企業向けの支援策も充実しています。
導入手順は、制度の選定・設計、従業員への説明、申請・契約、運用開始という流れが一般的です。
中小企業退職金共済(中退共)や各種助成金、専門家による無料相談などを活用することで、導入コストや手間を大幅に軽減できます。
自社の状況に合わせて、最適な支援策を活用しましょう。
- 制度選定・設計→従業員説明→申請・契約→運用開始
- 中小企業向け助成金や無料相談あり
- 導入コストや手間を軽減可能
企業側と従業員それぞれの視点で見るメリット・注意点
企業側のメリットは、福利厚生の充実や社会保険料の軽減、優秀な人材の確保などが挙げられます。
一方、従業員側は将来の資産形成や税制優遇、柔軟な受け取り方法などが魅力です。
ただし、制度ごとに運用リスクや受給時期、手続きの煩雑さなど注意点もあるため、双方が納得できる制度設計と情報提供が重要です。
導入前には、従業員の意見を聞きながら慎重に検討しましょう。
| 視点 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 企業側 | 福利厚生強化、社会保険料軽減 | 導入・運用コスト、手続き |
| 従業員側 | 資産形成、税制優遇、柔軟な受け取り | 運用リスク、受給時期の制限 |
はぐくみ企業年金×企業型確定拠出年金の併用はできる?活用法と注意点

選択制や他制度(中退共・DB・基金)との違いと併用可否
はぐくみ企業年金と企業型確定拠出年金(企業型DC)は、併用が可能な場合があります。
ただし、他の退職金制度(中退共・DB・基金など)と組み合わせる際は、掛け金の上限や税制上の制約に注意が必要です。
選択制を導入することで、従業員が自分に合った制度を選べる柔軟性も高まります。
併用時は、各制度の特徴やメリット・デメリットをしっかり比較し、最適な組み合わせを検討しましょう。
- 併用は可能だが掛け金上限や税制制約に注意
- 選択制で従業員の多様なニーズに対応
- 他制度との違いを理解して最適な組み合わせを検討
併用時の社会保険料や税制優遇のポイント
はぐくみ企業年金と企業型DCを併用する場合、社会保険料や税制優遇の効果を最大限に活用することが重要です。
掛け金は社会保険料の算定対象外となるため、企業・従業員双方の負担軽減につながります。
また、所得税や住民税の控除対象にもなり、節税効果が期待できます。
ただし、併用時は各制度の掛け金上限や税制優遇の範囲を超えないよう注意が必要です。
- 掛け金は社会保険料の算定対象外
- 所得税・住民税の控除対象
- 上限超過に注意
注意したい制度の上限・掛金・手続きと費用
併用時には、各制度ごとに掛け金の上限が設けられており、これを超えると税制優遇が受けられなくなる場合があります。
また、手続きや管理コストも増えるため、導入前に事務負担や費用対効果を十分に検討しましょう。
制度ごとの詳細なルールや最新の法改正情報を確認し、専門家のアドバイスを受けることもおすすめです。
| 制度 | 掛け金上限(月額) | 主な手続き | 注意点 |
|---|---|---|---|
| はぐくみ企業年金 | 給与の20% | 基金加入・掛け金設定 | 他制度との合算に注意 |
| 企業型DC | 5.5万円(選択制の場合) | 運用商品選択・管理 | 上限超過で税制優遇不可 |
まとめ|自社導入時のチェックポイントと選び方

企業の規模・人員・方針で異なる最適制度の選び方
はぐくみ企業年金と企業型確定拠出年金は、企業の規模や人員構成、経営方針によって最適な選択肢が異なります。
中小企業や安定した給付を重視する場合ははぐくみ企業年金、大企業や従業員の自助努力を促したい場合は企業型DCが向いています。
また、併用や選択制を活用することで、従業員の多様なニーズに応えることも可能です。
自社の現状や将来ビジョンに合わせて、最適な制度を選びましょう。
- 中小企業:はぐくみ企業年金が導入しやすい
- 大企業:企業型DCや併用も選択肢
- 従業員のニーズや企業方針に合わせて選択
従業員の支持を得るための理解促進と情報提供
年金制度の導入や変更時には、従業員への丁寧な説明と情報提供が不可欠です。
制度の仕組みやメリット・デメリット、将来の資産形成イメージを分かりやすく伝えることで、従業員の理解と支持を得やすくなります。
説明会やQ&A、シミュレーションツールの活用など、双方向のコミュニケーションを重視しましょう。
- 説明会や資料配布で理解促進
- シミュレーションツールの活用
- 従業員の質問や不安に丁寧に対応
導入検討時に活用できる無料相談・支援サービス情報
はぐくみ企業年金や企業型DCの導入を検討する際は、専門家による無料相談や公的支援サービスを積極的に活用しましょう。
社会保険労務士やファイナンシャルプランナー、各種年金基金の相談窓口などが、制度設計や手続き、最新情報の提供をサポートしてくれます。
また、自治体や商工会議所、中小企業向けの助成金・補助金情報もチェックしておくと安心です。
- 社会保険労務士・FPによる無料相談
- 年金基金や金融機関のサポート窓口
- 自治体・商工会議所の助成金・補助金









