小規模企業共済の分割受取のメリットは何かありますか?

小規模企業共済を分割で受け取る最大のメリットは、税金の負担を抑えながら老後の生活資金を安定的に確保できる点にあります。

共済金は一括でも分割でも受け取ることができます。

しかし、どちらを選ぶかで税金の扱いが大きく変わります。

分割受取を選ぶと、その共済金は「公的年金等の雑所得」として扱われ、年金と同じように課税されます。

つまり、一時金のように一度に多額の税金がかかることがなく、年ごとに少しずつ所得として計上されるため、結果的に税負担を分散できるのです。

また、「公的年金等控除」が適用されるため、年金収入が130万円程度までであれば所得税がかからないケースもあります。

社会保険料控除や配偶者控除などの他の控除も使えるため、実質的に非課税になることも少なくありません。

さらに、他の退職金制度(中退共や企業型DCなど)と同じ年に受け取る場合、一括受取だと控除枠が重複して課税所得が増える可能性があります。

分割受取ならこのリスクを避け、他制度と併用しても無理なく節税できます。

資金管理のしやすさも大きな魅力です。

退職時に一括で受け取ると、使い方を誤れば老後資金が減ってしまう恐れがあります。

分割受取なら年金のように毎年一定額が入るため、生活費を計画的に使え、心理的にも安心感があります。

さらに、受取中に本人が亡くなった場合、残りの共済金は遺族が受け取ることができ、遺族年金のような役割を果たします。

相続税の非課税枠(500万円×法定相続人)も使えるため、相続対策としても有効です。

一方で、一括受取に比べて退職所得控除の恩恵を最大限に受けられない場合もありますが、老後資金を計画的に使うという意味では、分割のほうが安心感がある選択といえるでしょう。

近年では、同じように節税と老後資産形成を両立できる制度として、企業型確定拠出年金(企業型DC)も注目されています。

企業型DCは会社が掛金を拠出し、運用益が非課税で複利で増えていく仕組みです。

小規模企業共済とあわせて活用することで、より安心で効率的な退職金づくりが実現できます。