企業の魅力は給与だけで決まる時代ではなくなりました。求職者が会社を選ぶとき、そして社員が会社に残るとき、「どんな福利厚生があるか」は重要な判断材料になっています。「あったらうれしい福利厚生日本一は何か?」と聞かれたとき、ランチ補助や家賃補助、レジャー施設の割引などを連想する人も多いでしょう。たしかにこれらは喜ばれる制度ですが、効果の持続という点では弱く、“その場の満足”で終わってしまうケースが少なくありません。

福利厚生の本質は「社員の人生を支えること」です。社員が本当に望んでいるのは、一時的な楽しみではなく、将来への安心です。物価上昇、老後資金2000万円問題、年金への不安など、漠然とした将来リスクが増える中で、社員の本音は「手取りが増えて、老後も安心できる仕組み」を求める方向へシフトしています。だからこそ、いま本当に選ばれる福利厚生は、“長期で社員の人生に寄り添う制度”と言えます。
その視点で考えると、福利厚生の中でも最も効果が大きく、社員の満足度が高い制度の一つが企業型確定拠出年金(企業型DC)です。企業型DCは、会社が毎月掛金を積み立て、社員の将来の資産形成を支援できる制度です。掛金は全額非課税で積み立てられるため、手取りベースで社員のメリットが大きく、さらに運用益も非課税という強力な仕組みを持ちます。会社にとっても掛金は全額損金となり、税負担を抑えながら社員の満足度を高められる点で導入効果が非常に高い制度です。
結論として、「あったらうれしい福利厚生日本一」は、“社員の将来を守る福利厚生”、つまり企業型DCのような手取りと老後の安心を同時に高める制度だと言えます。会社がこの視点を持てるかどうかが、採用力と定着力の差を決定づける時代に入っています。今こそ、給与だけではなく制度で選ばれる会社になることが求められています。







