はぐくみ企業年金の利回りってどれくらいでしょうか?

はぐくみ企業年金基金(はぐくみ基金)の利回りについて一言でまとめると、利回りは非常に低く、資産運用によって大きく増やすタイプの制度ではありません。

はぐくみ基金は「確定給付(DB)型」の制度で、目的は“増やすこと”ではなく将来の退職金を安全に確保することに重きが置かれています。このため、運用方針はリスクを極めて抑えた安定運用となり、利回り(付利率)は低く設定されています。

過去の公表データを見ると、付利率は長期間 0.0% が続き、最近になっても 0.1%〜0.3%程度 の水準にとどまっています。仮に年利0.3%の場合、100万円を1年間預けても利息は3,000円程度です。

このことからも、はぐくみ基金は「増やす制度ではない」ことがわかります。つまり、はぐくみ基金を利回りの観点で評価してしまうとミスマッチが起きます。

では、なぜ利回りが低くても利用されているのか。それは、元本割れがない安心感と将来の退職金給付が約束されていることが制度の価値だからです。

はぐくみ基金は保険ベースの堅い運用を行い、加入者の財産を守ることを最優先としているため、「確実に積み立てて退職金を用意したい」という企業には向いています。採用活動でも「退職金制度あり」と提示できるため、最低限の福利厚生としての役割を果たせます。

ただし、現実的な課題もあります。利回りが低いということは、物価上昇(インフレ)の中では実質的に資産価値が目減りする可能性があるということです。また、退職金制度としては“安心はあるが希望は育ちにくい”という側面もあります。

この弱点を補うために近年増えているのが企業型確定拠出年金(企業型DC)との併用です。企業型DCは運用益が非課税で、利回りが期待できる投資商品を選べるため、「守りのはぐくみ基金」×「育てる企業型DC」という組み合わせで、安心と資産形成の両立が可能になります。

結論として、はぐくみ基金は利回りで評価する制度ではなく、安全性重視の退職金制度です。もし企業が「社員の未来への安心」と「資産形成による希望」を両立したいのであれば、はぐくみ基金を土台としつつ、企業型DCを上乗せする設計が最も合理的だと言えるでしょう。

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