日本初の女性首相誕生が示す転換点──企業は「人への投資」と退職金制度をどう見直すべきか?

時事ネタ

日本の政治史に大きな節目が刻まれた。自民党の高市早苗氏(64)が衆参両院の首相指名選挙で第104代首相に選出され、憲政史上初となる女性首相が誕生した。連立の枠組みは自民党と日本維新の会による新体制となるが、維新は閣僚を出さず「閣外協力」にとどまる。

高市政権は就任直後から経済対策の策定に動き、同日夜の記者会見では、重点政策や経済運営の方向性が示される見通しだ。就任会見は単なる儀式ではなく、日本が直面する課題の大きさを考えれば、企業と国民が「これからの暮らしや働き方がどう変わるのか」を推し量る重要な指針となる。

今回の内閣の特徴の一つは、閣僚の陣容に女性を積極登用した点だ。官房長官には木原稔前防衛相(56)、外相には外交経験の長い茂木敏充元幹事長(70)を起用する一方、経済安全保障担当相には小野田紀美氏(42)が抜擢される見通しである。

国際安全保障、産業競争力、エネルギー政策など、国家の骨格に関わる課題が山積する中で、高市内閣は保守色を維持しつつも、多様性と実務力を両立させる方向性を掲げようとしている。

高市氏は奈良県出身。松下政経塾を経て1993年の衆院選で初当選し、当選回数は10回。これまで総務相や経済安保担当相、党政調会長などを歴任し、保守層を中心に厚い支持を得てきた。だが、首相になった瞬間から求められるのは「理念」ではなく「結果」である。

とりわけ、少子化、物価高、人手不足、高齢化、社会保障制度の綻びといった課題は1つひとつが待ったなしであり、先送りの余地はすでにない。

では、この新政権誕生は私たちの働き方や企業経営にどのような影響をもたらすのか。特に注目したいのは“人”の領域だ。経済安全保障の議論が進むほど、最終的に鍵を握るのは「人材」であり、その土台となるのは働き続けられる社会設計である。

賃上げ、人的投資、リスキリング、社会保障制度改革。どれも耳慣れたテーマだが、日本企業が避けて通れないのは「採用と定着」そして「老後の安心」という観点である。企業を取り巻く環境が厳しくなればなるほど、人材は“コスト”ではなく“資産”として扱う必要がある。ここを誤る企業は長期的な競争力を失い、逆にここを正しく設計できる企業は生き残る。

その文脈で、私はいま「退職金制度の再設計」が経営戦略の中で重要性を増していると考えている。政府がどんな政策を打ち出しても、年金制度の未来だけに依存することはできない。社員にも経営者自身にも、会社として“自助の仕組み”を用意できる企業が信頼される時代が来ている。その具体策の中で最も合理的で、中小企業でも導入が進んでいるのが企業型確定拠出年金(企業型DC)である。

企業型DCは、掛金を全額損金算入でき、運用益も非課税。老後資産を「会社と個人の共同プロジェクト」として“育てる”ことができる仕組みだ。

これまで退職金制度を持てなかった企業でも導入でき、人材の採用・定着にも効果がある。国が「自助による資産形成」を支える方向に舵を切る中で、企業型DCは政治や景気の影響を受けにくい“持続的な制度”としてさらに注目が高まるだろう。

日本が新しい局面に入る今こそ、経営者には問われている。
「社員の人生設計に責任を持てる会社か」
「国任せではなく、自社で未来をつくる覚悟があるか」

政権が変わることは大きな出来事だ。しかし、本当に未来を変えるのは“政策”ではなく“現場の選択”だ。だからこそ今が、会社の制度を見直す好機である。企業型DCはその最前線の選択肢となりうる。

※参考画像:日テレニュース

>>企業型DCを今すぐ導入するべき理由と成功事例について

タイトルとURLをコピーしました