経営セーフティ共済を解約すると税金はどうなるの?

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経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、掛金を全額損金算入できることから節税効果が高く、多くの中小企業が利用しています。

しかし、注意しなければならないのが「解約時の税金」です。
この制度は税金を「減らす」ものではなく、「支払いを後回しにする」仕組みであることを理解しておく必要があります。

経営セーフティ共済の掛金は、支払ったときに全額を損金(または必要経費)として計上できます。
これにより、加入年度の利益を圧縮し、法人税や所得税を減らすことができます。
たとえば、年間240万円を掛ければ、その年の経費として計上でき、利益を240万円分減らすことが可能です。
ここまでは大きなメリットに見えますが、問題は解約したときです。

解約時に受け取る「解約手当金」は、全額が課税対象になります。
法人の場合は「雑収入」、個人事業主の場合は「事業所得」として計上され、法人税や所得税の課税対象となります。
つまり、支払時に経費にした分が、解約時に利益として戻るため、最終的には税金を支払うことになります。
このため、経営セーフティ共済の節税は「永続的な節税」ではなく「課税の繰り延べ」なのです。

具体例を挙げると、毎月20万円を5年間(60ヶ月)掛けて合計1,200万円を積み立てたとします。
加入期間中は毎年240万円を損金算入できるため、5年間の合計で1,200万円の利益を圧縮することができます。
しかし、60ヶ月経過後に解約すると、1,200万円の解約手当金を受け取る際、その全額が雑収入として課税対象になります。

たとえば、その年に他の利益が500万円ある場合、合計1,700万円が課税所得となり、結果的に法人税が大きく増えるのです。
解約のタイミングによっては、今まで節税した以上の税負担になることもあります。

したがって、解約する際は「利益が少ない年」や「赤字の年」に行うのが理想的です。
赤字年度であれば、解約手当金を収益に計上しても、損失と相殺されて課税を最小限に抑えられます。

逆に、業績が好調で利益が出ている年度に解約すると、高い税率で課税されてしまうリスクがあるため、解約のタイミングは非常に重要です。

また、経営セーフティ共済の本来の目的は「取引先倒産時の資金確保」であり、節税はあくまで副次的な効果です。
短期的な節税目的で加入・解約を繰り返すと、思わぬ課税や資金繰りの悪化を招く恐れがあります。
制度を活かすには、長期的な資金計画と税務戦略をセットで考えることが大切です。

そして、会社のお金を「守る」経営セーフティ共済に対して、資産を「育てる」仕組みとして注目されているのが企業型確定拠出年金(企業型DC)です。

企業型DCは掛金を全額損金算入できるだけでなく、運用益が非課税で再投資され、複利の力でお金を増やすことができます。
経営セーフティ共済で会社を守り、企業型DCで将来の資産を育てる。
この2つを組み合わせることで、経営の安定と長期的な資産形成を両立させることができるのです。

>>企業型DCを今すぐ導入するべき理由と成功事例について

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