経営セーフティ共済が800万円を超えたらどうなりますか?

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経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐために、中小企業基盤整備機構が運営している共済制度です。
毎月5,000円から20万円まで掛金を拠出でき、全額を損金または必要経費に算入できるため、節税効果が高い仕組みとして多くの中小企業が利用しています。

この制度の掛金の上限は累計800万円です。
毎月の掛金が積み上がり、合計800万円に達すると、それ以上は自動的に納付が停止されます。
ここで勘違いしやすいのは、「積立が止まる=契約終了」ではないという点です。
積立が止まっても契約は継続しており、取引先が倒産した場合などには、掛金総額の10倍(最大8,000万円)まで無担保・無保証で貸付が受けられる権利を維持しています。

また、掛金を60か月(5年)以上納めていれば、任意解約によって全額(800万円)を「解約手当金」として受け取ることができます。
ただし、支払った掛金はすべて損金算入しているため、解約時に受け取るお金は「雑収入」として課税対象になります。

そのため、利益が多い決算期に解約してしまうと、逆に税金が増えてしまう可能性もあるのです。
一時的な節税だけでなく、資金繰りや事業継続を支える「企業防衛のための資産」として長期的に考えることが重要です。

掛金が800万円に達した後は、そのまま据え置いて緊急時の資金枠として活用するか、将来の資金計画に合わせて解約を検討するかの選択になります。
再加入も可能ですが、解約後に再加入すると掛金納付月数はゼロから数え直しとなり、再び40か月経たなければ解約手当金を受け取れません。

経営セーフティ共済は、節税と企業防衛を両立できる優れた制度ですが、資金を「守る」ことに重点を置いた仕組みです。
一方で、企業の将来に向けて資産を「育てる」仕組みとして注目されているのが、企業型確定拠出年金(企業型DC)です。
経営セーフティ共済が“万が一”に備える制度であるのに対し、企業型DCは“未来の豊かさ”を築く制度。

両者を上手に組み合わせることで、会社を守りながら、社長や社員の将来資産を着実に育てることができます。

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