「ポートフォリオ」と「分散投資」は似たように使われる言葉ですが、実は意味が異なります。簡単に言えば、分散投資は投資の考え方や方法であり、ポートフォリオはその結果として出来上がる資産の構成です。
まず、分散投資とはリスクを減らすために資産を複数に分けて投資することを指します。
一つの資産だけにお金を集中させると、その資産が値下がりしたときに大きな損失を受ける可能性があります。
たとえば、株式だけに投資していた場合、景気の悪化で株価が下がれば資産も大きく減ってしまいます。
しかし、債券や不動産、外国株式などにも分けて投資しておけば、一部が下がっても他がカバーしてくれることがあります。
このように、分散投資は「卵は一つのカゴに盛るな」という格言でよく説明されるリスク管理の基本です。
一方で、ポートフォリオとは、実際にどのような資産をどれくらいの割合で持っているかを表すものです。
たとえば「日本株30%、外国株40%、債券20%、現金10%」というように、自分の投資全体のバランスを示します。
この配分は人それぞれの目的やリスク許容度によって異なります。
安定を重視する人は債券を多めに、成長を狙う人は株式を多めにするなど、性格やライフステージに合わせた設計が重要です。
つまり、ポートフォリオは分散投資の考え方を具体的な形に落とし込んだ「設計図」と言えます。
両者の関係をまとめると、分散投資=考え方、ポートフォリオ=その結果(構成)です。
分散投資を行うことで、自然と自分なりのポートフォリオが形成されます。
料理にたとえると、分散投資は「レシピ」、ポートフォリオは「完成した料理」にあたります。
企業型確定拠出年金(DC)では、社員一人ひとりが自分の資産配分を選びます。
つまり、分散投資の考え方をもとに自分のポートフォリオを作ることが必要です。
株式だけ、あるいは債券だけといった偏った構成にすると、想定以上のリスクを負うことになりかねません。
反対に、バランスよく分散されたポートフォリオであれば、長期的な安定運用が期待できます。
結論として、分散投資は「どう投資するか」という戦略であり、ポートフォリオは「何をどれくらい持つか」という結果です。
両方を正しく理解して活用することが、老後の資産形成を安定させるための鍵となります。