専業主婦がiDeCoに加入するデメリットは何でしょうか?

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専業主婦(第3号被保険者)がiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入することには、もちろん将来の年金を自分で積み立てられるというメリットがあります。
しかし一方で、会社員や自営業者と違い、専業主婦にはいくつかのデメリットや注意点もあります。
ここでは、2025年9月現在の制度内容に基づいて、わかりやすく解説します。

まず最も大きなデメリットは、「所得控除による節税メリットがない」という点です。
iDeCoの最大の魅力は、掛金が全額所得控除になることですが、専業主婦は基本的に所得がゼロのため、控除できる税金そのものがありません。

つまり、掛金を支払っても所得税や住民税が減るわけではないのです。
この点が、給与所得のある会社員や自営業者との大きな違いです。

次に、60歳までお金を引き出せないという点もデメリットです。
iDeCoは「年金制度」であるため、老後資金づくりには最適ですが、途中で急にお金が必要になっても解約できません。

たとえば、子どもの教育費や住宅購入など、ライフイベントが多い時期に資金を使いたくなっても、60歳まではロックされています。
そのため、生活資金や教育費とは切り離して考える必要があるのです。

さらに、毎月手数料がかかる点も見逃せません。
専業主婦の場合、掛金が少額になるケースが多く、たとえば月5,000円を積み立てても、国民年金基金連合会や金融機関への管理手数料が毎月171円(年間2,052円)かかります。

これに加え、金融機関によっては運営管理手数料が発生することもあります。
積立額が少ないと、この手数料の割合が高くなり、「手数料負け」する可能性が出てきます。

また、運用リスクもデメリットの一つです。
iDeCoでは、定期預金や保険型だけでなく投資信託などを選べますが、運用商品によっては元本割れのリスクがあります。

特に投資の経験がない人が短期間で結果を求めると、「思ったより増えない」「評価額が下がった」と不安になることもあるでしょう。
長期で積み立てる前提を理解し、リスクを取らない商品(元本確保型など)をうまく組み合わせることが大切です。

さらに見落としがちなのが、将来の受け取り方によっては税金がかかる可能性があるという点です。
受け取り時には「退職所得控除」や「公的年金等控除」が使えますが、夫の退職金や年金と重なると控除枠を使い切ってしまう場合があります。
そのため、夫婦で年金をどう受け取るかをあらかじめ設計しておくことが重要です。

このように、専業主婦がiDeCoに加入する場合、節税効果がない・資金拘束がある・手数料がかかるという点が主なデメリットです。

しかし、長期で見れば「自分名義の老後資金を確保できる」という大きなメリットもあります。
夫婦の年金バランスを整え、将来の生活資金を分散しておきたい場合には、小額から始めておくことは十分に意味があります。

社労士である私は、専業主婦の方が「節税」ではなく「将来の安心づくり」としてiDeCoをどう活用すべきかを、家計全体の視点でアドバイスしています。

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