iDeCo(個人型確定拠出年金)の「事業主の証明書」は、2024年12月から原則として廃止されています。 つまり、今では多くの会社員や公務員が、勤務先に書類を依頼せずに、自分の手続きだけでiDeCoに加入できるようになっています。

これまでのiDeCoは、会社員や公務員が加入・変更を行う際、必ず勤務先に「事業主の証明書」という書類を書いてもらう必要がありました。
勤務先の押印や担当部署の対応が必要だったため、加入までに時間がかかったり、「会社に知られたくない」という理由で申し込みを諦める人も多くいました。
こうした煩雑さをなくし、より多くの人が老後資金づくりを進められるように、法改正が行われたのです。
2024年12月以降は、掛金を自分の口座から引き落とす「個人払込方式」で加入する場合、この「事業主の証明書」は不要になりました。書類を会社に回す必要がなく、ネット申し込みだけで完結できる金融機関も増えています。
そのため、転職が多い人や副業をしている人でも、柔軟にiDeCoを始められるようになっています。
ただし、給与天引きによる「事業主払込方式」を選ぶ場合には、今も会社の証明が必要です。これは、会社が従業員の掛金を給与からまとめて納付する仕組みのため、経理上の確認が必要だからです。
したがって、「完全に廃止」ではなく、「個人で払う場合のみ不要」と理解しておくと正確です。
さらに、この制度改正に合わせて、企業年金に加入している会社員の掛金上限額も引き上げられました。 以前は月1万2,000円までしか拠出できなかったところが、2024年12月以降は月2万円まで拠出可能になっています。
これにより、企業年金がある会社に勤めている人でも、より多くの金額をiDeCoで積み立てられるようになり、節税効果も大きくなりました。
このように、現在のiDeCoは、会社に依頼せずに個人で始められる手軽な制度へと進化しています。老後資金づくりを自分のペースで始めたい人にとって、ハードルが大きく下がったといえるでしょう。







