iDeCo(イデコ)に月1万円だけ積み立てても「意味がない」というのは誤解です。実際には、金額が少なくても税制優遇と複利効果があるため、十分意味があります。ただし、「期待する効果」が何かによって評価は変わります。

まず、iDeCoの最大の特徴は掛金の全額が所得控除になることです。
月1万円(年間12万円)を積み立てると、所得税と住民税の合計が約20%の人なら、12万円×20%=年間24,000円の節税になります。つまり、1万円積み立てても、毎年2,000円分の税金が戻るようなイメージです。
これが20年続けば、48万円の節税効果になります。少額でも続けることに意味があるのはこのためです。 さらに、iDeCoでは運用益が非課税です。
通常、投資信託などで得た利益には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは税金がかからないため、長期的にはこの差が大きくなります。
たとえば、1万円を20年間・年3%で運用すると約163万円になり、通常投資よりも約30万円も多く残ります。これも「少額でも長期なら大きな差」になる典型です。 ただし、「短期間でお金を増やしたい」「途中で引き出したい」という目的でiDeCoを使うのは向いていません。
iDeCoは60歳まで引き出せないため、流動性が低いのが最大のデメリットです。月1万円でも「老後資金の積立」「節税のための貯蓄」という長期的な目的がある人にとっては十分意味がありますが、「いつでも使えるお金を増やしたい」という人には不向きです。
また、iDeCoは運用手数料がかかります。口座維持手数料が毎月170〜450円ほど発生するため、月1万円ではリターンに対するコストがやや高めです。少額で始める場合は、運用益より節税効果を重視する考え方が現実的です。
つまり、月1万円のiDeCoは「意味がない」どころか、長期・節税・非課税運用という3つの効果を得られる堅実な方法です。
ただし、手数料の負担や流動性の低さを理解した上で、老後資金づくりの一部として使うのが理想です。
もしあなたが経営者や役員なら、より節税効果が大きく自由度の高い企業型確定拠出年金(DC)を導入する方が有利です。
企業型DCなら掛金を会社の経費として処理でき、法人と個人の両方で節税効果を得られます。







