社会福祉施設職員等退職手当共済について教えてください。

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社会福祉施設職員等退職手当共済制度(略称:社会福祉施設職員共済)は、全国の社会福祉法人や福祉施設で働く職員の退職金を安定的に確保するために設けられた共済制度です。厚生労働省の認可を受けた「社会福祉医療機構(WAM)」が運営しており、全国の福祉関係職員の雇用安定と福祉事業の健全な発展を目的としています。

この制度は、民間企業の「中退共(中小企業退職金共済)」や建設業の「建退共」と同じように、外部積立型の退職金制度です。つまり、社会福祉法人や施設の事業主が掛金を拠出し、それを社会福祉医療機構が一括で管理・運用することで、職員が退職した際に退職手当として給付される仕組みになっています。

制度の対象となるのは、社会福祉法人や医療法人、地方自治体から委託を受けて社会福祉事業を行う民間団体などに勤務する常勤・非常勤の職員です。法人単位で加入でき、職員が異動や転職をしても、次の勤務先も同じ共済制度に加入していれば通算が可能です。

これは中退共など他の共済制度にはない大きな利点であり、福祉業界で長く働く人にとって安心材料となっています。

掛金は事業主(法人)が全額負担し、職員本人が負担することはありません。掛金額は職員の勤続年数や職種、給与水準などに応じて設定され、毎月定額で納付されます。積み立てられた掛金は社会福祉医療機構が安全かつ効率的に運用し、退職時には「退職手当金」として支給されます。

支給額は、勤続年数・掛金月数・納付額に応じて計算されるため、長く勤めるほど退職金が増える仕組みです。

税制面でも優遇されており、掛金は全額損金(必要経費)として法人税の課税所得から控除できます。また、職員が受け取る退職手当金は「退職所得」として扱われ、退職所得控除や1/2課税の特典が適用されるため、税負担が大幅に軽減されます。

制度の特徴として、掛金の納付を停止した場合でも一定期間は資格が保留され、再就職時に共済契約を再開できる点があります。これは介護・福祉業界で一時的に離職する人が多い実情を踏まえた設計です。さらに、共済制度には「死亡退職給付」や「障害退職給付」もあり、職員や遺族の生活保障としても機能します。

ただし、短期間で退職した場合や掛金納付期間が短い場合は、支給額が少なくなることもあります。また、制度は「確定給付型」に近い仕組みであるため、運用リターンによる上乗せは期待できません。安定性を重視した制度といえるでしょう。

まとめると、社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、社会福祉法人や福祉事業所で働く職員のための退職金制度であり、事業主が掛金を負担して外部で積み立て、退職時に給付する仕組みです。業界共通の制度であり、通算・税制優遇・保障機能を備えた、福祉業界に特化した安心できる退職金共済といえます。

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