特定退職金共済(特退共)はいつもらうことができますか?

特定退職金共済は、中小企業が従業員の退職金を外部に積み立てて準備できる制度で、民間の生命保険会社や共済団体が国の認可を受けて運営しています。

会社が毎月掛金を拠出し、その積立金を基に従業員の退職時に共済金が支払われる仕組みになっています。では「いつ、どのようなタイミングでもらえるのか?」を見ていきましょう。

まず、基本となるのは「退職時」です。従業員が定年や自己都合退職、会社都合退職などで退職するとき、加入期間や積立額に応じた共済金が退職金として支給されます。受け取り方は原則一時金での支給ですが、制度によっては年金形式で分割受給が可能な場合もあります。いずれにせよ、退職というライフイベントに合わせて給付されるのが基本です。

次に「死亡時」にも支給があります。加入者が在職中に亡くなった場合、遺族が共済金を受け取ることができます。これも退職金に準じた扱いとなり、遺族にとっては生活保障の一助になります。

また、一定の要件を満たせば「高度障害状態」となった場合にも共済金が支給される仕組みがあります。これは生命保険的な性格を兼ね備えている部分で、労働力を失った際の生活保障として機能します。

一方で、企業が共済契約を途中で解約する場合や、従業員が短期間で退職する場合には「解約返戻金」や「退職一時金」として支払われることになります。ただし、この場合には注意が必要で、加入期間が短いと返戻金が掛金総額を下回り「元本割れ」となるケースも少なくありません。そのため、特定退職金共済は長期利用を前提に考えるのが基本です。

税制面では、従業員が受け取る共済金は「退職所得」として扱われます。退職所得には勤続年数に応じた退職所得控除があり、さらに残額の1/2だけが課税対象となるため、税負担は大きく軽減されます。これは退職金制度の大きなメリットであり、従業員にとって有利な受け取り方といえます。

まとめると、特定退職金共済が支払われるのは主に①退職時、②死亡時(遺族受給)、③高度障害時、④契約解約時です。もっとも一般的なのは退職時での受給であり、長期加入するほど有利な退職金となります。短期での解約では不利になる可能性があるため、企業としては長期的に制度を維持することが望ましく、従業員も老後の生活資金や退職金の柱として活用するのが最適です。

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