小規模企業共済を解約した後に再度加入することはできますか?

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小規模企業共済は、中小企業基盤整備機構が運営する「経営者や個人事業主のための退職金制度」です。掛金を積み立てることで将来の廃業・退職に備えられるだけでなく、掛金全額が所得控除となるため、節税効果も高いのが特徴です。では、一度解約した場合に再び加入することができるのでしょうか。

参考:小規模企業共済(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)

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結論からいえば、小規模企業共済は解約後でも再加入が可能です。ただし、いくつかの注意点があります。

まず、再加入するためには、初回加入時と同じように「加入資格」を満たしている必要があります。具体的には、中小企業の役員や個人事業主、または共同経営者であることが条件です。すでに廃業していて経営に携わっていない場合は加入資格がないため、再加入はできません。再び事業を始めたり、新たに会社の役員となれば、改めて加入が可能となります。

次に、解約前の掛金納付月数は通算されないという点が重要です。小規模企業共済は長期加入ほど有利になる仕組みで、20年以上積み立てると元本割れせず共済金が大きくなります。

しかし、一度解約してしまうと、それまでの加入期間はリセットされ、再加入後はゼロから積立をスタートすることになります。例えば、15年間掛けて解約した人が再加入した場合、以前の15年分は引き継がれず、新規契約として扱われるのです。

また、解約理由によっても扱いが異なります。事業廃止や役員退任に伴う「正当な解約」の場合は問題ありませんが、任意解約を繰り返すと元本割れを招き、制度のメリットを十分に活かせなくなる恐れがあります。特に短期間での解約は解約手当金が掛金総額を下回るため、資産形成としては不利です。

一方で、再加入によって再び掛金の全額所得控除を利用できるため、節税効果は復活します。再び事業を始めた経営者にとっては、老後資金準備と税負担軽減を両立できる有効な手段となります。

まとめると、小規模企業共済は解約後でも再加入が可能ですが、加入資格を満たしていることが前提であり、以前の掛金納付期間は通算されない点に注意が必要です。老後資金準備を確実に行うなら、できるだけ長期で継続することが望ましく、解約を繰り返すよりは計画的に利用する方が得策です。

場合によっては、小規模企業共済に加え、iDeCoや企業型確定拠出年金(DC)といった他の制度も組み合わせ、安定的な資産形成を図るのが賢明といえるでしょう。

>>企業型確定拠出年金と小規模企業共済の違いを徹底比較

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