小規模企業共済に最低何年加入すればいいですか?

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小規模企業共済は、中小企業基盤整備機構が運営する「経営者や個人事業主のための退職金制度」です。掛金を積み立てておき、廃業や退職、役員退任の際に共済金として受け取れる仕組みですが、加入期間の長さによって受取額やメリットに大きな違いが出ます。そのため「最低何年加入すればよいか」は大きな関心事です。

参考:小規模企業共済(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)

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まず制度上は、掛金納付期間が12ヶ月未満で解約すると、一切共済金を受け取れません。つまり、最低でも1年以上加入しなければ積立金が無駄になります。これは制度の基本ルールとして必ず押さえておくべき点です。

次に、掛金を1年以上払えば「解約手当金」を受け取ることはできますが、20年未満で解約すると元本割れの可能性が高い という注意点があります。特に短期での解約は受取額が掛金総額を下回ることが多く、退職金準備という目的からすると損をする可能性があります。

一方で、20年以上続けると受取額が掛金総額を上回る ように制度設計されています。そのため、老後資金の準備を真剣に考えるのであれば、最低20年は継続することが望ましいといえます。さらに掛金は全額が所得控除になるため、長く積み立てるほど節税効果も累積していきます。

以上から、小規模企業共済は「1年以上」で最低限の資格を得られ、「20年以上」でようやく本格的にメリットを享受できる制度です。短期間で解約すると不利になるため、加入するなら長期を前提に考えるべきです。

ただし、経営者や役員にとっては小規模企業共済だけで老後資金を十分に準備するのは難しい場合もあります。そこで併せて検討すべきなのが 企業型確定拠出年金(企業型DC) です。企業型DCは、会社が掛金を拠出し、従業員や役員自身が運用を行う制度であり、掛金は全額損金算入でき、役員でも月5万5千円まで拠出可能です。

運用益も非課税で、将来の受取時には退職所得控除や公的年金控除が適用されるため、極めて税制メリットが大きい仕組みです。

つまり、老後資金を計画的に積み立てるには、小規模企業共済を「退職金準備」として長期的に利用しつつ、企業型DCを組み合わせて「運用による資産形成」を同時に進めるのが理想的な選択肢といえます。両制度を併用すれば、退職金と年金の両面から安心を確保できるのです。

>>企業型確定拠出年金と小規模企業共済の違いを徹底比較

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