ドルコスト平均法は、一定額を定期的に投資して購入単価を平均化し、リスクを抑えて資産形成を進める投資手法です。この方法の大きな特徴は、まとまった資金がなくても始められる 点にあります。
むしろ、少額からでも長期的に継続することに意味があるため、投資初心者や資産形成をこれから始めたい人に適しているのです。
たとえば株式を一括で購入する場合、数十万円から数百万円の資金が必要になることがあります。しかし、投資信託やETFを活用してドルコスト平均法を行う場合、証券会社や金融機関のサービスを利用すれば「毎月1,000円」「毎月1万円」といった少額から積み立てが可能です。
近年ではネット証券を中心に、100円から積立できるサービスも広がっており、まとまった資金を準備しなくても投資をスタートできます。
この仕組みは、確定拠出年金(企業型DCやiDeCo)にも組み込まれています。加入者は毎月一定額の掛金を拠出し、その資金が自動的に運用商品に投資されます。つまり、毎月の給与から少しずつ拠出する形で自然とドルコスト平均法が実践されているわけです。老後資産形成を目的とした制度と非常に相性が良いのも、この特性によるものです。
ドルコスト平均法のメリットは、まとまった資金を一度に投資するのではなく、価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことで平均購入単価を下げられる点です。
これにより相場の変動リスクを抑え、長期的に安定した資産形成が期待できます。大きな金額を用意してタイミングを見計らう必要がないため、資金力に自信のない人でも無理なく始められます。
ただし、まとまった資金を一切使わなくてよいというわけではありません。余裕資金がある場合は、最初にある程度まとめて投資し、その後ドルコスト平均法で積み立てを続ける「一括+積立」の併用が有効なケースもあります。
右肩上がりの相場では一括投資の方がリターンを得やすいため、資金状況やリスク許容度に応じて戦略を組み合わせるのも一つの方法です。
まとめると、ドルコスト平均法はまとまった資金がなくても始められる投資手法であり、少額からコツコツと続けることで長期的な資産形成を実現するものです。一括投資が難しい人にとっては強力な味方であり、特に確定拠出年金制度のように給与天引きで自動的に積み立てられる仕組みと組み合わせることで、老後資金づくりに大きな効果を発揮します。