ドルコスト平均法は、一定額を定期的に投資することで購入単価を平均化し、価格変動リスクを抑えながら長期的に資産を形成していく方法です。その性質上、「何年間続ければよいか」という問いに対する答えは一律ではなく、投資目的やライフプランによって変わります。
しかし、共通していえるのは「短期で終わらせるのではなく、10年以上の長期にわたって続けることが前提」という点です。
まず、ドルコスト平均法の効果が発揮されるのは、価格が上下に変動する相場を長期間経験したときです。数年程度では価格変動が十分に吸収されず、運用効果が限定的になってしまいます。一般的には、少なくとも10年、できれば20年から30年といったスパンで続けることが推奨されます。これは、長期的な積み立てによって複利効果が働き、資産が雪だるま式に増えていくからです。
例えば老後資金を目的とする場合、30代や40代から積み立てを始めれば、退職する60歳前後までの20年〜30年間を運用期間とするのが理想です。20年積み立てを続けるだけでも、元本に加えて運用益が積み上がり、資産形成に大きな差が出ます。逆に、5年や10年といった短期間では、市場のタイミング次第で成果が大きく左右されやすく、ドルコスト平均法の強みである「価格変動リスクの平準化」が十分に働きません。
確定拠出年金(企業型DCやiDeCo)では、制度上60歳まで引き出せない仕組みになっているため、自動的に長期投資となります。これがまさにドルコスト平均法と相性が良い理由です。毎月一定額を拠出し、20〜30年以上積み立てることで、市場の上下動を味方につけながら着実に老後資産を形成することができます。
もちろん、ライフイベントに合わせて見直しを行うことも重要です。例えば50代以降はリスクの高い資産を減らし、債券や安定的な商品にシフトして受取時のリスクを下げる工夫が必要です。つまり「続ける年数」そのものよりも、「目的に合わせて長期的に継続し、ライフステージごとに資産配分を調整すること」が肝心なのです。
まとめると、ドルコスト平均法は最低でも10年以上、可能であれば20〜30年といった長期で続けることが望ましく、特に老後資金形成を目的とする場合には定年まで継続するのが理想です。そして、続ける中で定期的に資産配分を見直すことで、より安定的に効果を得ることができるのです。