建設業退職金共済の履行確認方法について教えてください。

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建設業退職金共済制度(建退共)は、建設業に従事する労働者が退職金を確実に受け取れるように設けられた制度です。事業主は労働者の就労日数に応じて共済証紙を購入し、共済手帳に貼付することで退職金を積み立てていきます。

しかし実際には、証紙が適切に貼られているか、制度がきちんと履行されているかを労働者自身が確認することが大切です。その確認方法にはいくつかの手段があります。

参考:建設業退職金共済(独立行政法人 勤労者退職金共済機構)

まず基本となるのは、労働者本人が持つ共済手帳の確認です。労働した日数分の証紙が手帳に貼られているかどうかを定期的にチェックすることで、日数や金額に漏れがないかを自分で確認できます。証紙が貼られていなかったり、日数が一致していなかったりする場合は、速やかに事業主に確認を求めることが必要です。

次に履行証明書の活用があります。公共工事では、元請業者が下請業者に対して建退共の履行状況を確認する仕組みが整備されています。具体的には、下請業者が労働者に証紙を適切に貼付しているかどうかを証明するために「履行証明書」が作成され、元請に提出されるケースがあります。これにより、元請業者も制度の履行状況を把握できるようになっています。

また、労働者や事業主は、建退共本部に対して履行状況の確認請求を行うこともできます。共済手帳に記録された証紙情報は建退共本部でも管理されているため、必要に応じて自分の積立状況や加入履歴を照会することが可能です。これにより、手帳を紛失した場合や、証紙貼付について不安がある場合でも、自分の退職金が正しく記録されているか確認することができます。

ただし、この制度は紙の証紙と手帳を前提とした仕組みであるため、どうしても事務負担やチェック漏れのリスクがつきまといます。証紙の貼り忘れや理由書の不備があると、その分が退職金に反映されない可能性もあり、労働者にとっては不安の要因となります。

こうしたリスクや煩雑さを回避できる仕組みとして注目されているのが、企業型確定拠出年金(企業型DC)です。企業型DCでは、掛金は会社から直接金融機関へ拠出され、労働者本人の口座で管理されます。資産の残高や運用状況はオンラインで随時確認できるため、履行状況を「見える化」できるのが大きな特徴です。

紙の証紙や理由書に頼る必要がなく、管理が透明で確実であることから、会社にとっても労働者にとっても安心感の高い制度といえます。

まとめますと、建退共の履行確認は、共済手帳のチェック、履行証明書の提出、そして建退共本部への確認請求などで行うことができます。ただし、より簡便で透明性の高い方法を望むのであれば、企業型DCのようにデジタルで資産管理が可能な制度を活用することも検討に値するでしょう。

>>建設業の退職金制度はどっちを選ぶべき?企業型確定拠出年金と建退共の違いと選び方

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