建設業退職金共済手帳とは何ですか?

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建設業退職金共済手帳(以下、共済手帳)とは、建設業退職金共済制度(建退共)に加入した労働者一人ひとりに交付される、退職金記録の基本となる手帳です。

建退共は、転職や現場の移動が多い建設業において「会社を変わっても退職金を通算できる」仕組みとして国が整備した制度で、その運用を支える重要な役割を担っているのが共済手帳です。

参考:建設業退職金共済(独立行政法人 勤労者退職金共済機構)

共済手帳には労働者の氏名や基礎年金番号が記載され、事業主は労働者が働いた日数に応じて「共済証紙」を購入し、この手帳に貼付します。証紙が積み重なることで退職金が積み立てられ、最終的にはこの記録を基に退職金が計算されます。

大きな特徴は、会社を移っても通算できる点です。A社で2年、B社で3年働けば合計5年分の証紙が通算され、退職時にまとめて反映されます。流動性の高い建設業界にとって非常に合理的な仕組みといえます。

しかし注意点もあります。事業主による証紙の貼り忘れや加入漏れがあると、その分が退職金に反映されず、労働者に不利益が生じる恐れがあります。

また、労働者が共済手帳を紛失すると、申請手続きに時間がかかる場合もあるため、本人が責任をもって保管する必要があります。制度上は建退共本部でも記録管理を行っていますが、労働者自身が定期的に確認することが望まれます。

一方で、より柔軟で幅広い活用が可能な制度として注目されているのが企業型確定拠出年金(企業型DC)です。建退共が建設業に特化しているのに対し、企業型DCは業種を問わず導入でき、従業員だけでなく経営者や役員の老後資産形成にも利用できます。

掛金は全額非課税、運用益も非課税、受け取り時にも税制優遇があるため、節税と資産形成を同時に実現できるのが強みです。さらに、労働者自身が運用先を選べるため、積極的な資産形成を希望する人にとって大きな魅力となります。

まとめると、共済手帳は建設業労働者の退職金を守るための確かな仕組みですが、会社全体の福利厚生や経営者自身の老後資産形成を考えるなら、企業型DCの方が柔軟で将来性の高い制度といえます。両者を理解し、自社の実情に合った仕組みを導入することが、労働者と経営者双方の安心につながるのです。

>>建設業の退職金制度はどっちを選ぶべき?企業型確定拠出年金と建退共の違いと選び方

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