建設業退職金共済証とは何ですか?

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建設業退職金共済制度(建退共)に加入すると、労働者一人ひとりに交付されるのが「建設業退職金共済証」です。これは、労働者がどの会社や現場で働いても退職金の記録を通算できるようにするための証明書であり、建退共制度の中核をなす存在といえます。

参考:建設業退職金共済(独立行政法人 勤労者退職金共済機構)

建設業は転職や現場ごとの雇用が多く、長期間ひとつの会社で働き続けるケースが少ないという特性があります。そのため、会社ごとの退職金制度では十分にカバーできない人が多く出てしまいます。そこで建退共では、労働者本人に「共済証」を発行し、現場や会社を移っても退職金記録が引き継がれる仕組みを作っています。

共済証には、労働者の氏名や基礎年金番号などが記載されており、働いた日数に応じて事業主が共済手帳に証紙を貼付した情報とひも付けられていきます。この証紙代が掛金となり、最終的には共済証の記録に基づいて退職金が計算される仕組みです。労働者が退職した際には、この共済証をもとに申請し、積み立てた分の退職金を受け取ることができます。

大きな特徴は事業所が変わっても通算できる点です。A社で働いていた期間の証紙も、B社に移ってからの証紙も、すべて同じ共済証に積み上がります。そのため、建設業に従事する限り「働いた日数=退職金額」に直結し、会社を跨いで記録が途切れることがありません。これは雇用が流動的な建設業界において非常に重要な仕組みです。

ただし注意点もあります。共済証を紛失してしまうと、退職金の受給手続きに時間がかかる場合があります。そのため、労働者自身が大切に保管することが求められます。また、事業主による証紙の貼り忘れや加入漏れがあると、退職金額に反映されない恐れがあるため、定期的に記録を確認することも重要です。

まとめると、建設業退職金共済証とは「建設業に従事する労働者が、働いた日数をどの会社でも通算し、退職金を確実に受け取るための記録証明書」です。建設業界ならではの働き方を支える仕組みであり、労働者にとって将来の安心を保証する大切な証明書といえるでしょう。

>>建設業の退職金制度はどっちを選ぶべき?企業型確定拠出年金と建退共の違いと選び方

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