企業型確定拠出年金は、会社が制度を導入してはじめて従業員が利用できる仕組みであり、掛金を「誰が負担するか」は制度の設計によって変わります。基本的な仕組みとしては、会社が掛金を拠出し、その掛金を従業員本人が自ら運用していくのが企業型DCの特徴です。
つまり、原則は会社が払うものですが、最近では従業員も一部または全額を負担できるように設計するケースも増えています。
まず最も一般的なのは、会社が全額負担するパターンです。会社が従業員一人ひとりの口座に毎月一定額を拠出し、従業員はその資金を投資信託や定期預金などで運用していきます。この場合、従業員にとっては「会社が用意してくれる退職金を自分で運用している」形になります。掛金は全額会社負担なので、従業員は自己負担する必要がありません。
次に、会社と従業員の双方が負担するマッチング拠出という仕組みがあります。これは会社が掛金を拠出するのに加えて、従業員も希望すれば自分の給与から上乗せして拠出できる制度です。従業員にとっては、老後資金をさらに積み増せるメリットがあり、掛金は全額所得控除になるため節税効果も得られます。
さらに選択制確定拠出年金(選択制DC)と呼ばれる形もあります。これは、会社が用意した給与や手当の一部を「現金で受け取るか」「企業型DCに拠出するか」を従業員が選べる仕組みです。この場合、表面的には「会社が拠出する」形ですが、実質的には従業員の給与を振り分けているため「従業員が自分で払っている」イメージに近くなります。ただし、この方法でも掛金は全額非課税で運用できるため、手取りを減らさずに将来資金を積み立てる効果があります。
つまり、企業型確定拠出年金の掛金を「誰が払うのか」という問いへの答えは、制度の形によって異なります。①会社が全額負担、②会社+従業員で拠出(マッチング拠出)、③給与を振り分ける選択制DC。この3つのいずれか、もしくは組み合わせで設計されます。
結論として、企業型DCの掛金は「会社が拠出するのが基本」ですが、制度設計によっては従業員も一部または全額を拠出することが可能です。老後資金の準備を会社と一緒に進められる制度であり、節税効果が大きい点も魅力といえるでしょう。
>>企業型確定拠出年金はどう投資する?リスク分散で失敗しない資産形成術