企業型確定拠出年金(企業型DC)の平均額については、企業規模や制度設計によって差が出ますが、近年の調査結果を基にするとおおよその水準を把握することができます。
企業年金連合会が公表している2023年度の実態調査によれば、まず拠出限度額が月額2万7500円に設定されている企業の場合、会社が拠出する掛金の平均は月額1万631円程度となっています。
さらに、加入者が自ら追加で拠出するマッチング拠出を含めた平均は6098円程度であり、事業主と加入者の合計額としては月1万6000円台から2万円前後になるのが実態です。一方で、企業年金を持たずに企業型DCのみを実施しており、拠出限度額が月額5万5000円となっているケースでは、会社負担の平均が1万5684円程度、加入者拠出分が1万161円程度となっています。
こちらの場合は合計で2万5000円前後となり、他の制度がない分だけ拠出額が高くなる傾向が見られます。つまり、企業型DCにおける掛金の平均は「制度がどのタイプか」「会社がどの程度負担しているか」「従業員が自らどれだけ拠出しているか」によって異なります。
制度設計上の拠出限度額に大きく左右されるため、単純に全国平均だけを見ても自分の将来像を正確に描くことは難しく、会社ごとのルールを確認することが欠かせません。一般的には、会社拠出分だけで月1万円前後から1万5000円程度が多く、従業員拠出を加えて2万円から2万5000円程度というのが目安といえます。
企業型確定拠出年金は老後資金形成に直結する制度であり、加入者にとっては長期的に積み立てと運用を続けることによって複利効果を享受できる仕組みです。したがって「平均額はいくらか」を知ることも大切ですが、それ以上に自分の会社の拠出ルールを理解し、必要に応じてiDeCoなどの制度を併用することで老後資金の準備を強化することが重要となります。