企業型確定拠出年金は産休・育児休業中どうなる？掛金・運用・復職後の取り扱いを解説

この記事は、企業型確定拠出年金（企業型DC）に加入している会社員やそのご家族、また人事・総務担当者や経営者の方に向けて書かれています。
産休や育児休業を取得する際、企業型DCの掛金や運用、復職後の取り扱いがどうなるのか不安に感じる方も多いでしょう。
本記事では、産休・育休中の掛金や資産運用の仕組み、復職後の流れ、社会保険料との関係、従業員・経営者それぞれの注意点まで、わかりやすく解説します。

企業型確定拠出年金と産休・育児休業の関係

企業型確定拠出年金（企業型DC）は、企業が従業員のために掛金を拠出し、従業員自身が運用を行う年金制度です。
この制度は、従業員の給与から掛金が拠出される仕組みが基本となっています。
産休や育児休業を取得する場合、給与の支給や就業状況が変化するため、企業型DCの掛金や運用にどのような影響があるのかを理解しておくことが大切です。
特に、産休・育休中は給与が支給されないケースが多く、その間の掛金拠出や資産運用の取り扱いが気になるポイントとなります。

掛金は給与から拠出される仕組み

企業型確定拠出年金の掛金は、原則として従業員の給与から天引きされる形で拠出されます。
企業が全額負担する場合もあれば、従業員が一部を負担する「マッチング拠出」制度を導入している企業もあります。
このため、給与が支給されている間は自動的に掛金が拠出され、従業員は特別な手続きをしなくても年金資産を積み立てていくことができます。
しかし、給与が支給されない期間が発生すると、掛金の拠出にも影響が出る点に注意が必要です。

• 掛金は給与から自動的に拠出
• 企業負担・本人負担の両方がある場合も
• 給与がないと掛金も拠出されない

産休・育休中は給与が支給されないことが多い

産休や育児休業中は、法律上の休業期間となるため、ほとんどの企業で給与の支給が停止されます。
この期間は、健康保険や雇用保険から給付金が支給される場合もありますが、企業からの給与は原則として支給されません。
そのため、給与から天引きされる企業型DCの掛金も、休業期間中は拠出ができなくなるケースが一般的です。
ただし、産休中の一部期間（産前産後休暇）については、会社規程によっては掛金拠出が継続される場合もあるため、事前に確認しておくことが重要です。

• 産休・育休中は給与が支給されない
• 給付金は別制度から支給される
• 掛金拠出も停止されることが多い

その間の掛金拠出が停止されるケースが一般的

産休・育休中に給与が支給されない場合、企業型確定拠出年金の掛金拠出も自動的に停止されるのが一般的です。
これは、給与からの天引きができなくなるためであり、従業員が特別な手続きをしなくても自動的に掛金が止まります。
ただし、会社によっては産休中の一部期間について掛金拠出を継続する場合もあるため、就業規則や退職金規程を確認することが大切です。
また、掛金が停止されても、すでに積み立てた資産の運用は継続される点も押さえておきましょう。

産休・育休中の掛金の取り扱い

産休・育休中の企業型確定拠出年金の掛金取り扱いは、会社の規程や就業規則によって異なる場合があります。
一般的には、無給期間中は掛金の拠出が停止されますが、企業拠出分や本人拠出分（マッチング拠出）の扱いはそれぞれ異なります。
また、掛金の拠出が停止されていても、すでに積み立てた資産の運用は継続されるため、休業中も資産が減ることはありません。
ここでは、産休・育休中の掛金や運用の具体的な取り扱いについて詳しく解説します。

企業拠出分は会社規程による

産休・育休中の企業拠出分については、会社の就業規則や退職金規程によって取り扱いが異なります。
多くの企業では、無給の休業期間中は企業拠出分の掛金も停止されるのが一般的ですが、産前産後休暇の一部期間については拠出が継続される場合もあります。
また、会社によっては独自のルールを設けていることもあるため、事前に自社の規程を確認することが重要です。
不明点があれば人事部門や担当者に相談し、正確な情報を得るようにしましょう。

• 企業拠出分の取り扱いは会社ごとに異なる
• 無給期間は停止が一般的
• 産前産後休暇中の一部は継続の場合も

本人拠出（マッチング拠出）は給与がないため停止

本人拠出（マッチング拠出）を行っている場合も、産休・育休中に給与が支給されなければ掛金の拠出は自動的に停止されます。
これは、本人拠出分も給与から天引きされる仕組みのため、給与がなければ拠出ができないためです。
休業期間中に自分で掛金を追加することはできませんが、復職後に再び拠出が再開されます。
休業中に積み増しができない点は注意が必要ですが、資産自体は運用が続くため、長期的な視点で考えることが大切です。

• 本人拠出も給与天引きが前提
• 給与がなければ拠出停止
• 復職後に自動再開

運用自体は継続し資産はそのまま運用される

産休・育休中に掛金の拠出が停止されても、すでに積み立てた年金資産の運用はそのまま継続されます。
運用商品（投資信託や定期預金など）は市場の動きに応じて増減しますが、休業中だからといって資産が凍結されたり減額されたりすることはありません。
運用状況はインターネットや専用アプリで確認できるため、休業中も資産の動きをチェックすることが可能です。
長期運用を前提とした制度なので、短期間の拠出停止が将来の資産形成に大きな影響を与えることは少ないといえるでしょう。

復職後の取り扱い

産休・育休から復職した場合、企業型確定拠出年金の掛金拠出は自動的に再開されます。
復職後は、従来通り給与から掛金が天引きされるため、特別な手続きは不要です。
ただし、休業期間中に拠出できなかった分をまとめて追加拠出することはできません。
また、休業中も資産運用は継続されていたため、復職後はそのまま運用を続けることができます。
復職後の流れや注意点について、以下で詳しく解説します。

掛金の拠出は自動的に再開

復職後は、給与の支給が再開されると同時に、企業型確定拠出年金の掛金拠出も自動的に再開されます。
従業員が特別な申請や手続きを行う必要はなく、会社側が給与計算と連動して掛金を天引きします。
本人拠出（マッチング拠出）を行っていた場合も、復職と同時に再開されるため、安心して資産形成を続けることができます。
復職後の掛金額や運用商品について見直したい場合は、会社や運営管理機関に相談しましょう。

• 復職と同時に掛金拠出が再開
• 特別な手続きは不要
• 運用商品の見直しも可能

休業期間分の掛金をまとめて拠出はできない

産休・育休中に拠出できなかった掛金を、復職後にまとめて追加拠出することはできません。
企業型確定拠出年金は、毎月の給与から定額を拠出する仕組みのため、過去の未拠出分をさかのぼって積み増すことは制度上認められていません。
そのため、休業期間中は資産の積み増しができない点を理解しておきましょう。
ただし、長期的な運用を前提とした制度なので、短期間の拠出停止が将来の年金額に大きな影響を与えることは少ないといえます。

• 未拠出分のまとめ払いは不可
• 毎月の拠出が基本
• 長期運用でカバー可能

資産は休業期間中も市場で運用が続く

産休・育休中に掛金の拠出が停止されていても、すでに積み立てた資産は市場で運用が続きます。
運用商品によっては値動きがあるため、資産額が増減することもありますが、休業中だからといって特別な制限がかかることはありません。
復職後もそのまま運用を継続できるため、長期的な資産形成を目指す上で大きな不利益は生じません。
運用状況は定期的に確認し、必要に応じて運用商品の見直しを検討しましょう。

社会保険料と産休・育休

産休・育休中は、社会保険料の取り扱いも大きく変わります。
この期間は法律により社会保険料が免除されるため、従業員の手取り収入への影響が軽減されます。
ただし、企業型確定拠出年金の掛金とは制度が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
また、社会保険料の免除期間も将来の年金額に反映される仕組みとなっており、安心して休業を取得できる環境が整っています。
ここでは、社会保険料と企業型DCの違いや、免除期間の年金額への影響について解説します。

産休・育休中は社会保険料が免除される

産休・育休中は、健康保険や厚生年金保険などの社会保険料が法律により免除されます。
この免除措置により、休業中の経済的負担が軽減されるだけでなく、将来の年金受給資格や受給額にも不利益が生じないよう配慮されています。
免除の手続きは会社が行うため、従業員が個別に申請する必要はありません。
この制度を活用することで、安心して産休・育休を取得できる環境が整っています。

• 健康保険・厚生年金保険料が免除
• 手続きは会社が実施
• 将来の年金額に不利益なし

企業型DCの掛金とは別制度なので混同に注意

社会保険料の免除と企業型確定拠出年金の掛金停止は、まったく別の制度です。
社会保険料は法律に基づき免除されますが、企業型DCの掛金は給与が支給されない場合に自動的に停止される仕組みです。
このため、社会保険料が免除されていても、企業型DCの掛金が自動的に拠出されるわけではありません。
両者の違いを正しく理解し、混同しないよう注意しましょう。

免除期間も将来の年金額に反映される

産休・育休中に社会保険料が免除されていても、その期間は将来の年金額にしっかりと反映されます。
厚生年金の場合、免除期間も保険料を納付したものとして扱われるため、年金受給資格や受給額に不利益が生じることはありません。
この仕組みにより、安心して産休・育休を取得し、将来の生活設計を立てることができます。
企業型DCの掛金停止とは異なるため、両者の違いを理解しておきましょう。

• 免除期間も年金額に反映
• 受給資格に不利益なし
• 企業型DCとは別制度

従業員にとってのポイント

産休・育休中の企業型確定拠出年金の取り扱いについて、従業員が押さえておきたいポイントをまとめます。
休業中は掛金の拠出が停止されますが、すでに積み立てた資産の運用は継続されるため、資産が減ることはありません。
復職後は掛金拠出が自動的に再開され、長期的な資産形成に大きな影響は少ないといえます。
ただし、休業期間中は掛金を積み増すことができないため、将来の資産計画を立てる際にはこの点も考慮しましょう。

休業中も資産は減らないが掛金は積み増せない

産休・育休中は掛金の拠出が停止されるため、新たな積み増しはできません。
しかし、すでに積み立てた資産はそのまま運用が続くため、休業中に資産が減ることはありません。
運用状況は定期的に確認し、必要に応じて運用商品の見直しを検討しましょう。
短期間の拠出停止であれば、長期的な資産形成に大きな影響は少ないといえます。

• 掛金の積み増しは不可
• 資産運用は継続
• 長期運用でカバー可能

復職後は改めて拠出を続けられる

復職後は、従来通り掛金の拠出が自動的に再開されます。
本人拠出（マッチング拠出）も同様に再開されるため、特別な手続きは不要です。
復職後のライフプランや資産運用方針に合わせて、掛金額や運用商品の見直しを検討するのもおすすめです。
不明点があれば会社や運営管理機関に相談しましょう。

• 復職と同時に拠出再開
• 手続き不要
• 運用方針の見直しも可能

長期運用であれば大きな影響は少ない

企業型確定拠出年金は長期運用を前提とした制度です。
産休・育休などで一時的に掛金の拠出が停止されても、長い目で見れば資産形成への影響は限定的です。
焦らず、復職後に再び積み立てを続けることが大切です。
将来の資産計画を立てる際は、休業期間も考慮して無理のないプランを作成しましょう。

経営者にとってのポイント

企業型確定拠出年金を導入している企業の経営者や人事担当者にとっても、産休・育児休業中の取り扱いは重要なポイントです。
従業員が安心して休業を取得できるよう、就業規則や退職金規程で明確なルールを整備し、従業員への丁寧な説明を行うことが信頼関係の構築につながります。
また、福利厚生の一環として制度の理解を促進することで、従業員満足度の向上や人材定着にも寄与します。
ここでは、経営者が押さえておくべきポイントを解説します。

就業規則や退職金規程でのルール整備が必要

産休・育休中の企業型確定拠出年金の掛金取り扱いについては、就業規則や退職金規程で明確に定めておくことが重要です。
無給期間中の掛金停止や、産前産後休暇中の拠出継続の有無など、会社ごとのルールを明文化することで、従業員の不安やトラブルを未然に防ぐことができます。
また、法改正や社会情勢の変化に応じて、規程の見直しも定期的に行いましょう。

• ルールは明文化しておく
• 無給期間の取り扱いを明確に
• 定期的な規程見直しが大切

従業員への丁寧な説明が信頼につながる

産休・育休中の企業型確定拠出年金の取り扱いについて、従業員に対して丁寧な説明を行うことが信頼関係の構築につながります。
休業中の掛金停止や復職後の再開、資産運用の継続など、従業員が安心して制度を利用できるよう、分かりやすい資料や説明会の実施を検討しましょう。
不明点や個別の相談にも柔軟に対応することで、従業員満足度の向上が期待できます。

• 説明資料やFAQの整備
• 説明会の実施
• 個別相談への対応

福利厚生の一環として制度理解を促すことが重要

企業型確定拠出年金は、従業員の将来の資産形成を支援する重要な福利厚生制度です。
産休・育休中の取り扱いも含めて、従業員が制度を正しく理解し、安心して利用できるようサポートすることが経営者の役割です。
福利厚生の充実は、優秀な人材の確保や定着にもつながるため、積極的に制度の周知・啓発を行いましょう。

まとめ：企業型DCは産休・育休中も安心

企業型確定拠出年金は、産休・育休中も資産運用が継続されるため、従業員にとって安心できる制度です。
掛金は休業中に停止されますが、復職後は自動的に再開され、長期的な資産形成への影響は限定的です。
経営者は、制度設計や従業員への説明責任を果たすことで、より良い職場環境づくりに貢献できます。
産休・育休を取得する際は、会社の規程や制度内容をしっかり確認し、不明点は早めに相談しましょう。

掛金は停止されるが資産運用は継続

産休・育休中は掛金の拠出が停止されますが、すでに積み立てた資産の運用はそのまま継続されます。
短期間の拠出停止であれば、将来の資産形成に大きな影響はありません。
安心して休業を取得し、復職後に再び積み立てを続けましょう。

• 掛金は休業中に停止
• 資産運用は継続
• 長期的な影響は少ない

復職後は再開され長期的な影響は少ない

復職後は、企業型確定拠出年金の掛金拠出が自動的に再開されます。
長期運用を前提とした制度のため、産休・育休による一時的な拠出停止が将来の資産形成に与える影響は限定的です。
安心してライフイベントを迎えられるよう、制度の仕組みを理解しておきましょう。

• 復職後は自動再開
• 長期運用でカバー可能
• 制度理解が安心につながる

経営者は制度設計と説明責任を果たすことが大切

経営者や人事担当者は、企業型確定拠出年金の制度設計や産休・育休中の取り扱いについて、従業員に分かりやすく説明する責任があります。
明確なルール整備と丁寧な説明を通じて、従業員が安心して働ける職場環境を整えましょう。
福利厚生の充実は、企業の信頼性や魅力向上にもつながります。